神木坂レニ ページ47
(……いた!)
咲也達と別れ、別の通りに入った所で例の二人を見つけた。
「ーーー!」
ストリートACTの終わる頃合を見計らい、見ていた人が足を進め出した辺りで声をかける。
「すみません」
「はい!なんですか?」
答えてくれたのは晴翔の方。隣の丞さんにはなぜだかめちゃくちゃ睨まれている。初対面の筈なんだけどな。
「俺、ここに来たばかりでGOD座の劇場がどこにあるか分からなくて。よかったら教えてくれませんか?」
こいつ何才なんだろうと思いながら、一応敬語を使って尋ねる。
この二人と、と言うより俺は晴翔と話がしたかった。
丞はともかく、晴翔がどこまで神木坂レニに忠誠心を向けてるのか確かめたくて。
特にどうする気もないけど、ただどんな人間なのかは知りたかった。実際本当にGOD座の場所も聞きたかったし。
「ああ、それなら」
「待ちなさい晴翔」
突如横から聞こえてきた声の方を見て、俺は目を見開く。
暗く艶のある長髪をなびかせ、堂々とした態度でこちらに歩いてくる男。
それは間違いなくGOD座の主宰、神木坂レニだった。
(マジか……)
まさかいるとは思わなくて、自然と眉が中心に寄る。面倒な事になる前に、今はここから離れるべきだ。
相手に疑心を抱かせないよう、細心の注意を払いながら言葉を選ぶ。
「君、名前は?」
「速水Aです」
「今日は遠くから来たのかね?」
「はい。とは言っても電車で来れる距離ですけど」
この調子ならまだ撒ける可能性はある。
そう思っていた時、神木坂の目が細められた。
「さっき一緒にいた連中は、君のお仲間かね?」
「!……はい」
一瞬躊躇ったが、何とか平静を装う。
この口ぶりからして、こいつもさっきあの場に居た臭い。
なら、咲也達の持ってたフライヤーにも当然気づいた筈だ。
そしてもちろん、俺がMANKAIカンパニーと何かしらの繋がりがある事も。
「単刀直入に言おう。君はMANKAIカンパニーの団員。そうだろう?」
ここで嘘をついても仕方ない。
俺はため息を吐き、片足に体重を乗せた楽な姿勢を取る。
「……正確には団員じゃなくて、家政夫ですけどね」
「ふっ、やはりな」
「……なんだ、あいつらの仲間か」
確信した事で微笑を浮かべる神木坂と、途端に態度を変え始める晴翔。
この表と裏の変わり具合、確実に至さん超えてるな。
「生憎MANKAIカンパニーとはいい思い出が無いものでね」
君には犠牲になってもらう。
そんな言葉と同時に、何かを察した晴翔が動き出した。
926人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「男主」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
夢花 ゆめいろ星(スター)の夢花(プロフ) - Syuさん» いえいえ! なるほど……あの二人の会話がすごく可愛くて癒されましたwはい!応援させてもらいます! (2018年3月21日 0時) (レス) id: f2643ccfd4 (このIDを非表示/違反報告)
Syu(プロフ) - rin_arsmateさん» 申し訳ございません。早急に編集致しました。ご指摘ありがとうございます (2018年3月12日 22時) (レス) id: 71340f3351 (このIDを非表示/違反報告)
rin_arsmate(プロフ) - 偽善者が犠牲者になっています。 (2018年3月12日 22時) (レス) id: 4f08260cf0 (このIDを非表示/違反報告)
Syu(プロフ) - 夢花 ゆめいろ星(スター)の夢花さん» ご指摘して頂いた上に感想まで……!ありがとうございます!三角は凄く作りやすくて楽しいです。これからも頑張らせていただきますね (2018年3月12日 17時) (レス) id: 71340f3351 (このIDを非表示/違反報告)
夢花 ゆめいろ星(スター)の夢花(プロフ) - Syuさん» いえいえ!あ、それと、凄く面白い作品ですね!!!本編を知っているからこそ不安にもなるし、支えていきたいのも舞台に立つのが怖くとも演技をやりたいって気持ちも凄く伝わってきて…めちゃめちゃ感動しました!個人的に綴と三角とのシーンがお気に入りですw (2018年3月12日 3時) (レス) id: f2643ccfd4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:祐 | 作成日時:2018年3月4日 17時