不穏な空気 ページ44
次の日の朝。
今日は咲也達の学校もない為、朝食を摂ってからすぐに稽古が始まった。
三角と夜遅くまでずっと芝居を続けていたのもあって、今の俺はかなり寝不足気味である。
ちなみに帰り際、三角にまたここに来てもいいかと聞いたら「もちろん!待ってるよ〜!」って言われて俺のライフはゼロになりました。
どうかあいつが来たるその時まで、俺以外に見つかりませんように。
「寝ぼけてたんだけど、変な事しなかったかな?」
監督さんに謝る至さんに、思考の海から現実に帰ってきた俺はまだエリート演じてたのかと呆れる。
あの後もういっそ隠さなきゃいいんじゃ?って返したけど、本人はまだ粘る気らしい。
どうせもうすぐオープンになる事を知ってる俺からすれば無駄な足掻きにしか見えないけどな。
監督さん怯えまくってるじゃん。
****
そして時は流れ、例のごとく纏まらないまま監督さんから終了が言い渡される。
至さんは途中で部屋戻ったし、各々微妙な空気を感じてるんだろうけど、俺としては全員の気持ちがわかる分むしろ懐かしさを感じる。
演じたいけどどうすればいいのかよく分からない咲也と綴、演じれる分遅れる二人に苛立つ真澄、それを傍観する事しか出来ないシトロンさん。そして何より、「お手本」を見せてあげられない監督さん。
(皆辛いだろうな)
一番最後の気持ちは何となくでしか察せられないけど、前四人の気持ちは良く分かる。
俺も全員と同じ思いをして今があるから。
最も今ここで一番辛い、というか卑怯なのは、全員の気持ちが分かっていて助けてやれない俺自身だけど。
晴れない感情のまま解散し、俺も今後を考える為に一度自分の部屋に戻った。
それから数時間後の事だ。
綴が俺の部屋へと枕抱えてやって来たのは。
「今日ここで寝させて下さい」
ぶすっとした表情で、ずかずか部屋に入ってくる綴。おいそっちは俺の布団だ。
「落ち着け綴。真澄と何かあった?」
というかお前本編じゃ咲也達のとこ行かなかったっけ?なんでこっち来たかな!?
「もう名前聞くだけでイラつきます!」
……こりゃよっぽどだな。
まぁあんなに温厚な綴が部屋飛び出すんだからよっぽどなんだろうけど。
にしても咲也達とは合流した方がいいよな。
俺は立ち上がると、綴に声をかける。
「一先ず咲也達のとこ行くぞ。俺も真澄の事知りたいし。同じ学校の咲也ならなんかしら知ってるだろ」
その顔は微妙そうだったが、脚本の為だと言えば仕方なく付いてきた。
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祐(プロフ) - 時雨さん» お返事が大変遅くなり申し訳ございません。もしよろしければどの話か教えて頂いてもよろしいでしょうか?分かり次第すぐに編集しようと思います┏○ペコ (2018年10月3日 14時) (レス) id: 71340f3351 (このIDを非表示/違反報告)
時雨 - 役不足っていうのは自分には役目が軽過ぎで満足できないなんて言うときに使う言葉ですよ (2018年9月10日 14時) (レス) id: cf954cb7db (このIDを非表示/違反報告)
Syu(プロフ) - 漣凪さん» ありがとうございます!今は面白いの一言が続ける気力になっております。むしろ妄想して貰えるなんて嬉しさで爆ぜそうです。頑張ります! (2018年3月3日 12時) (レス) id: 71340f3351 (このIDを非表示/違反報告)
漣凪(プロフ) - とても面白かったです!ついつい自身でこの先の展開を妄想してしまいます(←変人)。更新頑張ってください (2018年3月3日 1時) (レス) id: 87e449a00b (このIDを非表示/違反報告)
Syu(プロフ) - 茜さん» ありがとうございます!文字数制限に毎度ひいひい言っておりますが頑張ります (2018年2月25日 21時) (レス) id: 71340f3351 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:祐 | 作成日時:2018年2月23日 1時