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「ふみの、事?」
「はい」
「ふみなら、頼りないけれど私に持っていないものを持っている魅力的な人。だからとても憧れであり、誇りに思える姉だって」
「本心は違いますよね?」
「本心?」
「はい、本当はこうなんじゃないんですか?」
彼女は微笑んで、口を開く。その笑みが妖艶で不気味で、私の背筋を凍らせる。
何だろうか、嫌だ。聞きたくないと思っているのに、耳を塞ごうとしない私がいる。
「あなたは嫉妬をしている。建前ではそう言っていても、本心は何でも持っているふみさんに、嫉妬を抱いていた」
「え?」
「違いませんよね?あなたはいつもふみさんの隣にいた。ふみさんの隣にいてただ、彼女を中心に出来る輪を見ていた、羨ましそうに」
「っ、」
「姉の事を聞かれた事なんて沢山あったんじゃないんですか?あんなに魅力的な人ですものね。刀剣達は姉の虜だ、あなたはただの付き添い、補佐でしかない」
「ちょっと」
「いつも審神者様に、主様に見て欲しくてアピールをする男士ばかりですもんね。話したくて、隣にいたくて堪らないから皆、審神者様の隣を奪い合っている」
「黙ってよ」
「争奪戦、凄いですよね。それを見ている貴方の顔も凄いですよ、嫉妬しているのが目に見えてわかる。貴方は嫌だと思った時、眉を少しだけひそめるんです。ここ最近、それが多い」
「黙って」
「何故か、分かりました。原因は三日月宗近。あなたは、三日月様が審神者様のそばに行かれると、嫌そうな顔をする。貴方は恐らく三日月様の事を」
やめて、言わないでくれ。
気付きたくないんだ、私の気持ち、分かってよ。そこまで分かってるならさ、そのぐらいわかるでしょ?
「────好き、なんですよね?」
ニヤリと彼女は三日月のように口を動かす。
私はその言葉を彼女が放ったと同時に胸ぐらを掴んだ。黒く澄んだ目が良く見える。
「何が目的」
「目的も何も、あくまでも私の推論を話した迄です。その反応ですと、当たりですね」
「うるさい」
「三日月様に恋心を抱いていたんですか。彼、カッコイイですもんね」
「…………見た目なんてどうでもいい」
「なんだ、そうかと思ってました」
「っ、」
「ふふっ、まあいいですそんな事。それより」
私の腕を払うと、口を耳もとに近づける。
「そのお姉さんに勝ちたいって思いません?」
「え?」
「私が勝てる方法、教えてさしあげます」
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名もない茶葉(プロフ) - みなつきさん» 好みと言って頂き嬉しい限りです!更新頑張ります、コメントありがとうございました* (2018年6月8日 17時) (レス) id: f4334200be (このIDを非表示/違反報告)
みなつき(プロフ) - 初コメ失礼しますー!いつも楽しみに拝見させていただいてます♪とても私好みの作品で更新がいつも楽しみです!これからも頑張ってください〜! (2018年6月7日 21時) (レス) id: 3e3a2fbf1f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:名もない茶葉 | 作成日時:2018年5月22日 1時