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連れてこられた場所はまさかの
「ここ、ですか」
「ああ。先程言わなきゃいけない事があると言ったであろう?」
「そう、かも、しれ、ない、です、が!!」
「これこれ、ぽこぽこと殴るでない」
「その話し方ムカつきます」
「すまんな。昔からこの話し方なのだ」
先程友人と話していた「思いをぶつけよう大会」の会場だった。
だが一体何を叫ぶというのだ。私までもを引き連れて?私に向かって伝える事?
第一に私と彼は初対面なのだ。何を伝える事があるのだろうか。
すると彼は時計をチェックし始める。
「……そう言えばお主の名前を聞いてなかったな」
「え、ああ。Aって言います」
「ふむ、良い名だな」
彼は私の頭をポンポンと叩き、「ではいってくる、ここで待っていろ」と言って行ってしまった。
彼は一体どこへ行ったのだろうか。私をここまで振り回しといた挙句、名前だけ聞き出して何かに巻き込もうという犯罪、的な…………?
や〜!!どうしよ、名前、名前教えちゃった!!?
私が脳内プチパニックを起こしていると
『続いてはこの人!この学校で名前も顔も知らない人はいない程!自称ジジイ事、三日月宗近!』
司会者がアナウンスをする。
あ、あの人の名前だ。でも何処にいるんだろう?
私がキョロキョロとしていると、女性陣がキャー!と黄色い悲鳴をあげる。
彼女らが指さす方を見ると、屋上には彼の姿が。
彼女らの中には「三日月〜!」と叫びうちわを振る者までいた。
………あの人、アイドルなの?
『さあ、三日月くん!あなたは急遽エントリーされました。今から気持ちを思いをぶつける訳ですが、何にぶつけますか?』
「ある女人にぶつける」
『おおっ!これはまさかの告白………!?』
「ははは、そうだな」
近くにいたファンであろう女性陣はどよめき出す。
私は何故か嫌な予感しかしない。この場から切実に離れたい。だが、地と足がくっついたように動かない。
『それじゃあどうぞ!』と司会者が言う。
彼は息を吸い、マイクに向かって思いを伝えた。
「俺は、ある女に一目惚れした、初めて恋に落ちた。今からそいつに俺の、想いを伝える」
「A」
「お前が好きだ、愛してる」
キャーとか、うそー、とか色々な声や悲鳴があがる。
だが私の耳にそれはよく入ってこない。
………は?好き?何を言ってるんだ?
私の脳内は、洗いたてのタオルのように真っ白だった。
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名もない茶葉(プロフ) - みなつきさん» 好みと言って頂き嬉しい限りです!更新頑張ります、コメントありがとうございました* (2018年6月8日 17時) (レス) id: f4334200be (このIDを非表示/違反報告)
みなつき(プロフ) - 初コメ失礼しますー!いつも楽しみに拝見させていただいてます♪とても私好みの作品で更新がいつも楽しみです!これからも頑張ってください〜! (2018年6月7日 21時) (レス) id: 3e3a2fbf1f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:名もない茶葉 | 作成日時:2018年5月22日 1時