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芸術は爆発だ。
日本の有名な巨匠の言った言葉だ。確か太陽の塔を設計したあの人だ。うちの美術の先生がその方がとても好きで、覚えさせられたんだっけ。
確かにこの作品は爆発しているのかもしれない。
ただ、どうやら私にはその感性が乏しいようで。
「これ、爆発してます？」
「………まあ、芸術は爆発しているだろう。この作品を描いた作家からすればな」
「はあ」
「何をそう考えておる」
「芸術って難しいなあって」
「そうか？」
「はい」
私は次の展示品の前へ移動した。
芸術って難しい。
三日月さんは先程の作品の前で長く足を止めていた。手を組み、じっくりとその作品を鑑賞している。
時々「ふむ」と言い、「こうして、成程」と指を動かしたり。
作品よりも、彼の言動に私は目がいってしまう。それを無自覚にやる彼が面白いのだ。
芸術家肌ってやはり変な人、多いんだな。
私は三日月さんを観察している。すると彼は私の視線に気がついたようで。
「む？どうかしたか？」
「いや、別に」
「………まさか、俺に惚れて」
「無いです。今後一切無いです」
「それは、わからんぞ」
「有り得ませんから」
「そこまで言わなくても」
彼はそう言うと一瞬しょげる。だがすぐ気を取り戻し、別の作品の前へ移動した。
私もその後へついて行く。
彼が足を止めた作品は、小さな湖畔を描いた絵画。とても淡いタッチで描かれた作品は、繊細な印象をもたらす。
「綺麗、ですね」
「そうだな。俺は景色を描くのが苦手だから羨ましい」
「へえ」
「人をモデルとして描く事が多いのだ。………そうだ、今度Aを描かせてはくれぬか？」
「私をですか？こんな無表情のやつを？」
「ああ、描いてみたい。良いだろう？」
「いいですけど」
「おお！嬉しいぞ、ありがたいなぁ！」
彼はそう言うと嬉しそうに笑う。
少年頃のあどけなさが残るような笑み。新しいものを見つけた時、ワクワクで満ちて楽しみで仕方ないといった気持ちがダダ漏れている。
彼のそんな笑顔は初めて見た。
言動は抜きにして、傍から見ると大人っぽい三日月さん。
そんな人が、こんな笑い方をするとは。少しこちらが驚き、心臓がドキリと鳴る。
……………あー、なんでこんなのに反応してんだ。耐性がないって辛い。
頬が火照るのを感じる。彼の横にいるのは今は少し、控えたい。
私は別の作品の前へ移動した。
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名もない茶葉(プロフ) - みなつきさん» 好みと言って頂き嬉しい限りです！更新頑張ります、コメントありがとうございました＊ (2018年6月8日 17時) (
レス) id: f4334200be (このIDを非表示/違反報告)
みなつき(プロフ) - 初コメ失礼しますー！いつも楽しみに拝見させていただいてます♪とても私好みの作品で更新がいつも楽しみです！これからも頑張ってください〜！ (2018年6月7日 21時) (レス) id: 3e3a2fbf1f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：名もない茶葉 | 作成日時：2018年5月22日 1時
