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村正は淡々とした口調でそう話したが、やはり何か引っかかる。
Aは再び、疑問を投げかけた。
「紗子は……殺人鬼と同じくらいの法を犯したのか?」
「……残念だが、それは言えない。」
先ほどの淡々とした口調は消え去り、どこか思い詰めたような表情でそう言った。紗子は、そんな村正を気遣うような眼差しを向けていた。
(何か、あったのか…。)
二人の様子から追求してはいけない気がして、喉まで出かけた言葉をぐっと飲み込んだ。
「…さ、仕事を説明するよ!」
重くなった空気を変えるように明るい口調が飛んできた。紗子が、この空気を変えたがっているのがひしひしと伝わる。
「うん。」
「……ああ。」
村正の思い詰めた表情は変わらなかったが、それでも今は、依頼された仕事を全うしなければならない。
Aがここにきた理由は、ただそれだけだから。
「まず、朝の7時になったら殺人鬼達を叩き起こす。それでーー。」
「ちょ、ちょっと待て。叩き起こすのか…?殺人鬼を……?」
「え、うん、そうだよ。殺されないように注意してね。」
「……。」
(朝から、寿命が縮まりそうな仕事だな……。)
今すぐにでも自分の中から魂が抜けていきそうな感覚に、思わず卒倒しそうになった。
その後も紗子の説明を聞くも、どれも命の危機に晒されるようなものばかりだ。
AM.7:00〜 殺人鬼を叩き起こす。
AM.7:30〜 朝食。(間に合わなかった奴は、殺して良し。)
AM.8:30〜 支度準備。
AM.9:00〜 仕事時間。
PM.12:30〜 昼食。
PM.13:30〜 仕事再開。
PM.17:30〜 仕事終了。片付け。
PM.18:00〜 夕食。
PM.19:00〜 狂乱祭。
AM.24:00〜 狂乱祭終了。就寝。
渡された殺人鬼達の一日の予定表には、時刻と内容が大雑把に書かれていた。
(僕たち、朝の7時から24時までずっと監視なんだよな…。いつ殺されてもおかしくないな、この日程。気を引き締めなくては……。)
「まぁ、こんな感じだよ。あ、一つ重大なこと言っておくね。」
そう言った紗子の口元には、ニヤリと不気味な弧を描いていた。
「脱走者は、万死に値する。見つけ次第……その場で殺害することを許可する。」
人を殺めることをしてこなかったAにとって、それは最も大きな経験となるのだった。
(怖い…。)
己を殺されることも怖がり、誰かを殺めることも怖がるA。自分がこの場に立っているのが本当に現実なのか、Aは掌を見つめ呆然と問いかける。
自分じゃない誰かが、心の奥底にいるような気がした。
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枯羽(プロフ) - ピポポタマスさん» 女主なんですw応援してくださりありがとうございます。 (2018年8月17日 2時) (レス) id: a079f10cee (このIDを非表示/違反報告)
ピポポタマス(プロフ) - 最初見たとき、「あれ…男主かな?┌(┌^o^)┐オイシイ」と思ったんですけど女主なんですねwwそりゃ体力も無いですわねw面白いので是非頑張って下さい(上から目線すいません)!!!応援してます!! (2018年7月11日 3時) (レス) id: 1f7d70f902 (このIDを非表示/違反報告)
枯羽(プロフ) - はゆーさん» 初めまして!!褒めてくださりありがとうございます!作者は、天才ではないかもですが、褒められれば伸びるタイプですw更新遅くてすみません。コメントありがとうございました! (2018年4月4日 14時) (レス) id: 4774db47d0 (このIDを非表示/違反報告)
はゆー(プロフ) - はじめまして!耐え切れず、コメントを入れさせていただきました…!作者様の表現力とストーリーが素晴らしくて、常に感動しております。あの…やはり、天才様でいらっしゃいますよね…?()。お忙しく大変だと思われますが、これからも無理のないよう頑張ってください! (2018年4月4日 14時) (レス) id: e0dbe52e99 (このIDを非表示/違反報告)
枯羽(プロフ) - 孤縷さん» ありがとうございます!!時には無理しちゃうかもですが、頑張らせていただきます! (2018年3月19日 14時) (レス) id: 4774db47d0 (このIDを非表示/違反報告)
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