イレギュラー (ページ9)

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二章試験① ページ9

ー神祇本部指揮官室
「なるほどねぇ……やはり覚醒したのか……」

神祇の指揮官九十九弥生は手渡された資料を目を通しながら、そう呟いた。その資料には、Aのことについて記されていた。

「はい。証拠ならこちらに」

弥生にUSBメモリを渡したのは、紫音だ。彼女は今弥生に監視していたAについて報告していた。USBには、Aが異能力者に覚醒した瞬間を捉えた映像が入っている。

「何もそこまで用意しなくてもいいのに～」

「いえ。確実な証拠を見せないと信じてもらえないと思ったからです」

「相変わらず自意識過剰だな～紫音ちゃんは。私でもさすがに映像まで撮らないよ～？でもその方が助かるよ。ありがとうね。映像の方はまたあとで目を通しておくよ。あと彼の監視は今日で終わりってことでお願いね。まがれ退治やってもいいからね～｣

「ありがとうございます。ではこれからまがれ退治に精進していきます。失礼しました」

紫音は扉の前で深く礼をし、部屋から退出した。

「まったく……紫音ちゃんは真面目だな～さて、紫音ちゃんからもらった映像でもみますか」

ー神羅高等学校一年A組
(……なんでこうなったんだ？)

大型のまがれを倒して翌日。僕はいつも通り学校に来ていた。だけど……一つ。

「なあなあ。能力を模倣するとはどういう風にするのか？」

昨日まで僕に全然興味がなかった那珂川くんが、顔を赤くして僕の能力についてしつこく聞いてきた。

「……なんでしつこく聞いてくるようになったの？君そんなキャラじゃなかったよね？」

「そんなことは関係ない!!とにかく俺は今お前の能力について聞きたいのだが……」

「それここで聞いても大丈夫なの？」

「あ……じ、じゃあ！学校の帰りに聞いてもいいか?!それなら大丈夫だろう!?」

「はぁ……別にいいけど……」

「ありがとう!!いや～能力を模倣するなんて、珍しい能力だからな！実に興味深い!!」

「はぁ……」

僕が少し呆れ気味に溜息をつくと、クラスメイトから声をかけられた。

「なぁ、A。お前呼ばれてるぞ？」

「え？誰からだろ？」

「なんか……お前に用があるんだってよ」

クラスメイトが指を指した先には、この間僕とぶつかってしまった狐の面をつけた女の子がいた。

「あ……あの人……」

次回に続く