イレギュラー (ページ5)

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一章転校生② ページ5

ー放課後
(はぁ……結局あの後那珂川君に話しかけることもできなかったな……どうしたものか……)

今日の授業を終え、僕はトボトボと家に帰ろうと、教室から出た瞬間。

「ちょっとそこの君！どいてー！」

「え？」

ドテーン!!

「痛っ……」

突然女の子の声が聞こえたので振り向くと、走ってきた女の子とぶつかり、尻もちをついてしまった。

「ごめんね！君怪我はない!?私ちょっと急いでて……!!」

紫色の短髪で赤色のメッシュがあり狐の面をつけている女の子が心配そうに僕に話しかけてきた。

「いえ……大丈夫です。怪我はしていません……」

「ほんと？立てる？」

女の子が僕に手を差し伸べてきた。僕は女の子の手を握り、その場から立ち上がった。

「あ、ありがとう……」

「どういたしまして。そもそもぶつかってきたのは私のせいだからね……ほんとにごめんね！じゃあ私は急いでるからまたね！」

「あ……」

女の子は急ぎ足でその場から立ち去った。

(不思議な子だったな……あの子)

僕はそう思いながら、下駄箱へと向かった。

ー帰路
「はぁ……今日は色々あって疲れたなぁ……クラスメイトには冷たくされるし、知らない女の子にぶつかるし……災難すぎるだろ……僕……家帰ったら、ゲームでもするか」

僕がそう呟くと、どこからか人の悲鳴が聞こえた。

「え……？今のって……？」

「助けて……!!誰かぁ……!!」

「……こっちか!!」

僕は悲鳴が聞こえた方に向かった。

「大丈夫ですか!?……え？」

僕は目の前の光景を疑った。その光景はまるでゾンビのような化け物が女性を連れ去ろうとしていた光景だった。

「な、なんだ……？こいつ……化け物か……？」

「早く!!早く助けて!!!」

「っ!?早く助けないと……!!あ……れ？」

僕は女性を助けようとしたのだが、足がすくんでその場からは動けなかった。

(な、何をやっているんだ……？僕は……は、早く……助けないと……!!)

「いやぁ!!!まだ死にたくない!!!」

「くそ……!!動けよ……!!動け……!!!」

その時。バァン!!っと銃声が鳴り響いた。僕は銃声がした方を見るとそこには黒い拳銃を構えた那珂川くんの姿があった。撃たれたのは僕と襲われた女性ではなく、女性を連れ去ろうとした化け物だった。化け物は脳天を撃たれ、そのまま霧となって消えてしまった。

「な、那珂川くん……君は一体……何者なの……？」

次回に続く