イレギュラー (ページ23)

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四章こんな私でも③ ページ23

「え?!」

突然真上から女の人の声がした。僕は辺りを見渡すが、どこにも女の人の姿が見えない。

「あーあー鈍いな～お前ら。……後ろだっての」

僕は後ろを振り返ると、そこには大きな鎌を持った銀髪で紫のメッシュの女の人が立っていた。

「い、いつの間に……!!?」

「あーまずは自己紹介しとくわ。うちは霜月羽音。神祇から派遣された異能力者。ここのまがれは全部うちが倒しといたから、お前らもう帰っていいよ」

「え?!全部!!?」

「どうりで反応がないわけだね～」

「悪いね。うちはここに来て、肩慣らしがしたくてね。昨日からずっと退治してたら、ここにいるまがれ全部倒しちゃったわ」

「そ、そんな……」

「ま、そういうことで。お前らもう帰っていいよ」

羽音さんはあっさりした表情でそう言った。すると、泰斗先輩から持っていた探知機からアラームが鳴った。

「え?!急に反応が!?」

「なんだって!!?ここにいるまがれは全部うちが……!!」

「多分奴らに知られたんだと思いますよ～？ここにいる仲間が倒されたって」

「なんだって？」

「霜月さんでしたっけ？奴らだって、そう簡単にやられるわけがないと俺は思うんですけどね～」

泰斗先輩がそう言った瞬間、僕らの目の前に大きな穴があいた。そこから巨大なまがれが現れた。

「うわ!!でか!?」

「うわ～でかいね～」

「これはいいね～今まで見たことないな～こんなでかいの。狩りがいがありそうだなぁ～」

「と、とりあえず倒さないと……!!」

僕らは各々の武器を構え、戦闘態勢に入った。

「ほんじゃ、お前らあとは頑張れよー」

「え!?羽音さんは!!?やらなんですか!!?」

「うちの名前を気安く呼ぶなよ、小僧が。うちは一日中雑魚どもの相手してたら、疲れたわ。うちはもう帰る」

羽音さんはそう言うと、その場から立ち去ってしまった。

「えぇ!?」

「A君!!そんなことより今はこいつを倒さないと……!!」

まず攻撃を仕掛けたのは、紫音先輩だった。紫音先輩は巨大なまがれに斬りかかるが、傷一つつかない。

「でかいくせに防御力も高いの!?」

「紫音ちゃん!!どいて！」

泰斗先輩が槍で一突きをしても弾かれてしまった。

「ほんとだね。岩みたいに硬いや」

「……ここは私の能力でなんとかするしか」

「紫音ちゃん……それは……」

「大丈夫ですよ。もう慣れましたので」

紫音先輩がそう言った瞬間、先輩の周囲には青白い炎が出現した。

「私の能力、狐火を操る能力見せてあげるよ！」

次回に続く