瞳の奥に映るもの【シリウス･ブラック】 (ページ34)

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廊下を走りあの競技場の見える教室に一直線に向かえば音が大きくなる

教室の前で一息ついてそっと中を覗いてみる

夢｢～♪｣

窓の外の方を向きながら目を閉じて笛を吹く彼女の姿はいつにも増して可憐に見えた

1歩踏み込むと思ったより靴の音がなってしまい演奏が中断される

夢｢シリウス？｣

笛を持って振り向きながら問うボルベールに息を呑む

あの呼び出し騒動以来2人きりになることがなかった為何を話したらいいのかわからなくなってしまった

『また音が聞こえたから、来ちまった』

夢｢ﾌﾌｯ、シリウスは耳がいいのね｣

『あぁそうかもな』

ボルベールの横に1席空けて座る

『もう吹かねぇのか？』

夢｢聞きたい？｣

『ああ』

ボルベールは嬉しそうに笑ってさっきとは違う曲を演奏する

いつまでも聞いていたい

この2人だけの空間がとても居心地が良かった

・

『やっぱりお前すごいな』

夢｢そうかな？日本にいた時は他にも琴とか和太鼓とか三味線もやったなぁ｣

懐かしむように話すボルベールの言葉には聞きなれない単語ばかり並ぶ

『？？全部聞いたことない』

夢｢シリウスにはピアノかヴァイオリンが絶対似合うだろうなぁ｣

『それなら知ってるぜ。俺でもやれるのか？』

夢｢ヴァイオリンは私もやった事ないから教えられないけどピアノならできるわ！……ただ｣

ﾊﾟｯと花が咲いたように顔を輝かせたがすぐに落ち込んでしまう

『ただ？』

夢｢ピアノはとても大きいの。今だってせいぜいこの横笛を縮ませ呪文で何とかローブの内ポケットに閉まってるくらいだし｣

『それなら出せるかもしれない』

夢｢え？｣

今から行こう！と言おうと思った矢先ｸﾞｩ～とお腹の音が鳴る

『あ～まずは飯、食うか』

クディッチの練習の後でお腹が空いていたことを先程の興奮で忘れていたようだ

夢｢うん、その方がいいね｣

ボルベールは必死に笑いを堪えているのだろうが声が漏れてるため隠しきれていなかった