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st青
「…いってぇ。」
少しずつ意識が戻り気が付いた時には体全体に鈍い痛みが走り、視界は薄暗かった。
多少怪我はあるが、この状況で軽傷なんてラッキーだな。
「コホッコホッ…。」
乾いた様な咳が聞こえ声の主を見る。
力なく横たわる彼にほふく前進で進み声を掛けた。
「北斗…、北斗。」
「ん…。」
「分かる?」
「じゅり…。」
ゆっくりと瞼を開け視線が交われば安心した表情を見せた。
ステージ脇の控え場所にいた為、上から崩れ落ちた瓦礫はステージに立て掛けるように落下し、ステージと瓦礫の間に出来た少しの隙間に居たおかげで命拾いした。
「ウッ…。」
「…師匠!」
小さな呻き声が聞こえ視線を向ければ顔を歪めた師匠の姿が。
「師匠大丈夫っすか?」
「…うん、平気。2人は?」
俺たちも平気です、そう答えようとしたが俺と師匠の間にいた北斗が身を乗り出した。
「深澤くんっ…あ、足が…!」
北斗の体で隠れてよく見えていなかったが、覗き込めば師匠の足元に赤い液体が広がっている。
言われなくても分かる…血だ。
「挟まれただけだ、大丈夫。」
「でも…っ。」
「死んでもおかしくない状況でこの怪我なら、少しくらい我慢できるよ。…北斗、大丈夫だから、ね?」
瓦礫の下で俺も北斗も身動きが取れない。
目の前にいる師匠を助けることが出来ない自分が不甲斐ない。
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あんこ(プロフ) - 柑橘さん» コメントありがとうございます!不定期更新になりますが気長にお待ちいただければと思います♪ (2022年11月3日 10時) (レス) id: 5e6bf3d23b (このIDを非表示/違反報告)
柑橘(プロフ) - とても面白かったです‼これからも頑張って下さい‼続きみたいです!お願いします! (2022年11月2日 6時) (レス) @page8 id: 0e4755acad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あんこ | 作成日時:2022年10月2日 20時