幼女じゃないもん2 ページ4
私がフライヤーにハチチキを入れている間にレジにお客様が来たらしく、塩戸くんはレジの方に向かっていった。
(さっ、さっき…キス…されるかと思った…)
さっきの事を思い出してしまい、無意識のうちに顔に熱が集まる。
顔が熱いのはきっとフライヤー周りの温度が高いからだ！そう思って無心で揚げ物をする事に集中する。
いつの間にか事務所から出てきたらしいオーナーが塩戸くんにまた声が小さいと言っている、いつも通りの風景。…のはずなのに、オーナーが塩戸くんにしてみせる
「いらっしゃいませ」
の掛け声も、塩戸くんの
「すみません…」
と小さく謝る声も今はずーっと遠くから聞こえてくる。いつも通りの風景の中で私だけが置いていかれる感覚に陥った。
自分のことながら男性経験のなさが如実に出ているなと苦笑する。
昔から顔は変わらず童顔なので先輩も、同級生も…挙句の果てには後輩からも妹のような扱いしか受けなかった。当然それは恋愛面においても変わらずで、恋人が出来たことはなかった。
勿論、世に出てる雑誌のモデルさんのようになりたいとかクラスの高嶺の花の女子みたいになりたいと自分磨きは頑張った。でも、結局何も変わらなかったのだ。
ニキビが出来なくて羨ましいとか言われてもそもそもその段階まで成長出来てないんだって方が勝って喜べるはずなんて無かったし、頭の高さがちょうど撫でやすいなって、それはもう煽りである。
思い出したら腹が立って仕方なくてダァンと店舗スタンプを押す。お客様はちょっと怖がってた。ごめんなさい…今嫌なこと思い出してたの…。なんて言える訳もなく笑顔を取り繕って
「受領書です。」
と紙を渡す。
私の心を乱していた本人は相変わらず声は小さいものの凄く仕事は早かった。
塩戸くんの横顔をまじまじと見る。
きっとイケメンという部類なんだろうなぁと思う。あんまニッコリしないのが勿体ないなぁ…って思っているとお客様を送り出した塩戸くんと目が合ってしまった。
目が合った塩戸くんは少し恥ずかしそうに下を見るとふにゃりと笑った。
笑ったのだ！！
これには私もびっくりしてバッと顔を背けてしまった。
…非常に気まずい。
視線をふよふよと揚げ物を置いてあるケースに移す。
あっ、ポテト売り切れてる…。揚げなきゃ！
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 415人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品が参加のイベント 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しらたまみるるん - うおおおおおかみさくさいこういっしょうおがみます（よみにくいね⭐） (11月10日 21時) (
レス) id: ef9723c520 (このIDを非表示/違反報告)
紲那(プロフ) - 森の民さん» 最後まで読んで下さりありがとうございます！！そう言っていただけて光栄です！！ (2022年8月23日 19時) (レス) @page50 id: 280664fa32 (このIDを非表示/違反報告)
森の民(プロフ) - うおおぉ！最後まで尊かったです！さいこうだー！ (2022年8月23日 18時) (レス) @page50 id: 6c1a629d1f (このIDを非表示/違反報告)
紲那(プロフ) - あずきさん» いえいえー！ (2022年8月17日 21時) (レス) id: 280664fa32 (このIDを非表示/違反報告)
あずき(プロフ) - 紲那さん» コメ返ありがとうございます‼そうなんですね！教えていただき、ありがとうございます！！！ (2022年8月17日 4時) (レス) id: 452ba847db (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
