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早朝のトレーニングを終えてAは珍しく出かける準備をしていた。買い物はほとんどネットショップで終わらせ、特に娯楽も無く過ごしてきたため私用で外出するのは稀だが今日は別である。
Aが訪れたのは大きな白を基調としたビル。
そこのプレートには、国連個性研究機構所属 特殊個性研究所田等院支部 の文字。
ICカードをかざして中へと入る。埃一つないカーペットの上を歩いていった。
国連個性研究機構、
またの名をUnited Quirk Research Organizationというその組織は個性黎明期に発足した国際連合所属の機関である。
今でこそ個性所持者の数は8割に達し、個性は当たり前の存在となった。だが個性黎明期には社会は混乱し個性所持者への迫害や個性の暴走も少なからず起こっていた。国際社会はこの事態に対応するためこの組織、UQROを設立し個性所持者の保護と個性の研究を進めた。
UQROの功績は広く社会に認められ、迫害などの事態の減った今でも世代を追うごとに複雑化していく個性のサポート機関として無くてはならない存在である。
が、それは人間にとっての話である。
世界が個性という異能に気づき始めた時代、息を潜め隠れていたAの存在がこの組織によって見つけられる。だがAの体質は到底個性とは言いようのできないもの。長い時が過ぎても監視下に置かれ続けている。
研究員に連れられ幼児達が遊ぶガラス張りの個室を抜けて奥へと進む。
｢ここでお待ちください。｣
通されたのは懐かしきAがずっと閉じ込められていた部屋だった。継ぎ目のない白い壁と床。だが無数の監視カメラが隠されていることをAは分かっている。中央には机と椅子が2脚。左の壁にはくたびれた簡易ベッドが家主を待ち続けていた。
ギィ、と軋むベッドに腰掛ける。どれだけ時が経ち担当研究員が変わってもこの部屋は変わらない。
ここで何度砕けただろうか。何度折れ、記憶を失っただろう。集めて繋ぎ合わせた分は覚えていても粉々になった分はもう戻っては来ない。魔法でもありはしない限り。
物音1つ立てずに扉が開く。
現れたのはAの4人目の担当研究員、
｢実際に会うのは2ヶ月ぶりね。視てるかぎり問題はなさそうだけど…調子はどう？｣
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あかや - とても面白かったです！更新待ってます〜！ (2020年12月15日 13時) (
レス) id: 51d8bbe764 (このIDを非表示/違反報告)
ぱすてる - とてもよかったです(´；ω；｀) (2020年4月19日 18時) (レス) id: d34f4e9add (このIDを非表示/違反報告)
八百(プロフ) - みんなが名前を呼んでるとこでちょっと涙出ちゃいました…更新待ってます！ (2019年3月29日 21時) (レス) id: db047f61b6 (このIDを非表示/違反報告)
音春(プロフ) - 更新頑張ってください！(受験勉強も) (2018年12月1日 17時) (レス) id: f210cca1fd (このIDを非表示/違反報告)
星を見守る砂岩(プロフ) - すごく面白いです！更新頑張ってください！ (2018年11月16日 21時) (レス) id: 5a8ebe94bd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さも | 作成日時：2018年2月9日 2時
