絶対絶命 ページ10
フッと鬼の姿が消える。
次の瞬間、目の前に鬼の爪が迫っていた。
「ぐっ…!!!」
刀で鬼の攻撃を受ける。重い一撃に、刀からピシッとひび割れる音が聞こえ、そのままパキンと音を立てて折れた。
「えっ刀折れた!!!!?どどどどうしようAちゃんやばいよ!!!!!」
背後に庇っている善逸が声を荒らげる。
その様子を見て、心底愉しそうに鬼が笑った。
「おや?そんな簡単に折れるなんて、随分脆い刀だな、それとも使っている剣士が駄目なのかな?剣士の才能ないんじゃないか?」
「…っ!」
ドキリと心臓が大きく跳ねた。その隙を逃さず、鬼が追撃を開始する。Aは受けきれず、木の幹に向かって投げ飛ばされた。あまりの衝撃に息が詰まり、一瞬意識が遠のく。
「Aちゃんっ!!!!!!」
善逸が叫んだ。大慌てでAに駆け寄ると、背に庇うようにして刀に手をかける。
「こここここれ以上近付くなよ俺もAちゃんもきっと美味しくないって諦めてどっか行ってくれ頼むから!!!!」
ガタガタと体を震わせ顔も涙でぐしゃぐしゃにしながら善逸は尚も鬼から目を離さなかった。
「やばい死ぬわこれ絶対死ぬAちゃんがやられたらまじで勝機がなくなる…!!!!ていうか何でこんな強い鬼がここにいんの!!!?おかしくない!!!?この試験俺達のこと合格させる気ないわけ!!!?はーーまじ無理死ぬわ!!!俺はここで死ぬ!!!!」
「騒がしい人間だなあ、五月蝿いからお前から先に喰ってしまおうか。」
にやりと嫌な笑みを浮かべる鬼に、善逸の中の恐怖心が限界に達した。
がくりと体が地面に座り込む。
「う…ぜんいつ………?」
「…おや?まさか恐怖で気を失ったか?はは!こんな腰抜けが鬼殺の剣士を目指しているなんて世も末じゃないか!」
「うそでしょぜんいつ……びびりだと思ってたけど気絶とかする……?そんなことってある………?」
善逸の様子を見たAは絶望的な状況に言葉を失った。ああここで死ぬのか。志半ばで死んでしまうのか。せめて家族の仇は討ちたかったなあ。
そう諦めた時だった。す、と目の前に影が落ちる。
見上げると、そこには気を失ったはずの善逸が立ち上がっていた。
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希乃(プロフ) - あかりさん» コメントありがとうございます!現在続きを執筆中ですのでしばしお待ちを…! (2019年5月20日 7時) (レス) id: 2c5a503106 (このIDを非表示/違反報告)
あかり - とっても面白いです!続きも楽しみにしています! (2019年5月18日 23時) (レス) id: f66f75f695 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:希乃 | 作成日時:2019年5月13日 16時