２４話 ページ24
○
快斗くんは数秒黙ったあと、そっか、とつぶやいた。
「だからあのとき、泣いてたんだな」
「けど、快斗くんのおかげで笑顔になったでしょ」
そう言ってにこっと笑えば、快斗くんもつられるようにふっと笑った。
ああ、やっぱり快斗くんはわたしを可哀想だなんて思うような人じゃなかった。
言ってよかった、わたしは心から思った。
「ま、俺のマジックで元気になったっていうんならエンターテイナー冥利に尽きるな」
どこか満足気に笑うから、なにそれ、と私も笑った。
「…けどよ、お前の母さんなんでずっと入院してんだ？」
「うん、お父さんの後を追おうとして、大量に睡眠薬を服用したり首を吊ったりして…
それから、ずっと寝たり起きたりを繰り返してる」
歩いている母を見たのはいつが最後だろうか。
少し悲しくなって、ふぅ、とため息をつく。
すると、ずっと公園の砂が映っていた視界に急にポンっと赤色が飛び込んできた。バラだ。
急に表れるもんだから、わたしは拍子抜けして快斗くんのほうを見る。
「快斗くん、どうしたの…」
すると快斗くんはいたずらっ子みたいに、にいっと笑った。
「おめーが暗い顔してたからな
俺といるときはそんな顔するヒマねーくらい、楽しませてやるよ」
そう言った快斗くんがあまりにもかっこよくて、わたしは嬉しくて笑いながら動悸が早くなっているのを感じていた。
快斗くんといると、たまにすごく恥ずかしくなったりモヤモヤしたりするけど、やっぱり楽しいと感じることが1番多いのだ。
やっぱり快斗くんはすごいや、と思った。
そして、わたしも快斗くんにそう思ってもらえるような存在に、なりたいなと思った。
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 432人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「怪盗キッド」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みすと(プロフ) - わあああ返事遅くなってすみません(；； ) わたしも見ました、何回みても最高ですよね… こちこそ読んでくださってありがとうございます！ (2020年4月24日 13時) (
レス) id: 2f6679e490 (このIDを非表示/違反報告)
なな@鬼滅あんスタ(プロフ) - 昨日のロードショー見て来たのはうちだけじゃないハズ((((作者さんありがとうございます... (2020年4月18日 9時) (レス) id: 967fb8e362 (このIDを非表示/違反報告)
みすと(プロフ) - 加々知 零さん» 黒羽快斗くん夢、書くのとても楽しかったです(つω`*)小説読んでくださりありがとうございます！ (2019年7月2日 22時) (レス) id: 2f6679e490 (このIDを非表示/違反報告)
加々知 零 - ｡ﾟ(ﾟ´ω`ﾟ)ﾟ｡快斗×夢主がヤバイよぉぉお！！ (2019年7月2日 21時) (レス) id: b33ef74fc2 (このIDを非表示/違反報告)
みすと(プロフ) - 木実こむぎ@Project KZ副隊長さん» 最後のセリフは絶対これで終わろう！って考えていたのでそう言っていただけて嬉しいです！本当に読んでくださり感想までお聞かせくださり、ありがとうございます！また何か書き始めたら覗いてってください(^^) (2019年5月31日 19時) (レス) id: 2f6679e490 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みすと | 作成日時：2019年5月8日 21時
