１７話 ページ17
○
「安室さーん！こんにちは！」
「ああコナンくん、蘭さん。こんにちは」
人の良さそうな笑顔で応えてくれた、褐色肌に金髪の、恐らく店員さん。
「えっと、こんにちは」
コナンくんに腕を掴まれ蘭ちゃんに背中を押されているわたしの格好は相当おかしい。
その状態で挨拶したものだから、ちょっと笑ってからこんにちは、って返ってきた。
「安室さん、マスターは…」
蘭ちゃんがキョロキョロあたりを見回していると、安室さん？がああ、と言って言葉を続けた。
「マスターは今すこし外してますが…どうかしたんですか？」
「Aお姉ちゃん、働けるとこ探してるんだ！安室さん、お話だけでも聞いてあげて!」
そんなコナンくんの言葉によって、わたしの面接のような何かが始まった。
促されるまま3人並んでカウンターのイスに座る。何故かコナンくんと蘭ちゃんはわたしを挟むようにして両サイドに座った。なぜ。
「はじめまして、AAです」
「はじめまして、安室透です」
ぺこっと頭を下げる。
安室さんが怖そうな人じゃなくて安心した。
「なぜアルバイトを？」
「えっと、生活費のために」
「苦学生さんなんですか？大変ですね」
「ああ…まあそんなとこです」
ははは、と乾いた笑いが出る。
両親のことは、やっぱり言う気になれなかった。
しかし仮にもアルバイトの面接だし、こういうこと隠してると印象良くないかもなあ。
うーんと考えていると、ふとコナンくんが口を開いた。
「Aお姉ちゃんのお父さんは警官さんだったけど殉職なさって、お母さんはずっと入院してるんだ」
わたしがナチュラルに隠そうとしていたこと、全部隣から聞こえてきた。
ギョッとしてコナンくんの方を見る。
「え、コナンくんなんでそのこと…」
小1に聞かせるような話でもないしということで、コナンくんにこの話はしていなかった。
コナンくんは苦笑いをしてこう答えた。
「し、新一兄ちゃんに聞いたんだ！」
新一くんとコナンくんが見知った間柄だったことを思い出して、最悪だ、と頭を抱えた。
新一くんのバカ、おしゃべりだな。いくらなんでも小学生に話すな。
コナンくんに全部すっぱ抜かれた今、もうわたしは正直いって帰りたい気持ちでいっぱいである。
はあぁ、と力ないため息が漏れた。
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 432人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「怪盗キッド」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みすと(プロフ) - わあああ返事遅くなってすみません(；； ) わたしも見ました、何回みても最高ですよね… こちこそ読んでくださってありがとうございます！ (2020年4月24日 13時) (
レス) id: 2f6679e490 (このIDを非表示/違反報告)
なな@鬼滅あんスタ(プロフ) - 昨日のロードショー見て来たのはうちだけじゃないハズ((((作者さんありがとうございます... (2020年4月18日 9時) (レス) id: 967fb8e362 (このIDを非表示/違反報告)
みすと(プロフ) - 加々知 零さん» 黒羽快斗くん夢、書くのとても楽しかったです(つω`*)小説読んでくださりありがとうございます！ (2019年7月2日 22時) (レス) id: 2f6679e490 (このIDを非表示/違反報告)
加々知 零 - ｡ﾟ(ﾟ´ω`ﾟ)ﾟ｡快斗×夢主がヤバイよぉぉお！！ (2019年7月2日 21時) (レス) id: b33ef74fc2 (このIDを非表示/違反報告)
みすと(プロフ) - 木実こむぎ@Project KZ副隊長さん» 最後のセリフは絶対これで終わろう！って考えていたのでそう言っていただけて嬉しいです！本当に読んでくださり感想までお聞かせくださり、ありがとうございます！また何か書き始めたら覗いてってください(^^) (2019年5月31日 19時) (レス) id: 2f6679e490 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みすと | 作成日時：2019年5月8日 21時
