21話 ページ21
○
「えっと、今日も宝石は…」
ニュースで聞いたことを思い出したので聞いてみた。
怪盗キッドって数週間に1度くらいのペースで予告状出してるのかな。大変だなぁ。
「ふ、こちらですよ」
綺麗な青色の宝石。
月の光にかざしたあと、キッドはふう、とため息を吐いた。
「しかしこれも私が探しているモノではなかったので、おかえししなければなりませんね」
「…探しているものが、あるんですか?」
気になったので聞いてみた。
キッドはいつも盗んでは返してを繰り返してる、って聞いたことあったな。
キッドは、含みのある笑みを浮かべた。
「さあ、どうなんでしょうね」
その返しに、わたしは少し笑ってしまった。
「怪盗さんって、やっぱり隠し事が多いんですか?」
「そうですね、怪盗はミステリアスである方が魅力的かと思いまして」
「面白いんですね、怪盗さんは」
確かに怪盗は分からないことが多い方が魅力的だと思った。
けどわたしはミステリアスに振る舞う必要なんてないし、やっぱり快斗くんにちゃんと言おう。
「ありがとう、怪盗さん
おかげで、やっと決心できた」
するとキッドは、わたしの背中を押した自覚なんてなかっただろうからか、すこしきょとんとしてからこう答えた。
「お嬢さんのお役に立てて良かったです」
そこでキッドの方にしっかり向き直り、ハンカチを取り出した。
「この間は、ありがとうございました
これ、返そうと思って」
そっと差し出すと、キッドは街灯から降りてこちらへ歩み寄ってきた。
「それはプレゼントしますよ」
うさぎ型のハンカチに手を重ねたと思えば、赤いリボンが巻かれていた。
「!…かわいい」
キッドの粋なマジックで、わたしはまた笑顔になる。
「それは思い出として、大事にしてくださったら本望です」
「うん、ありがとうキッド」
するとキッドはぺこりとお辞儀をして、煙幕の中へ消えていった。
わたしの中で、もう決心がついた。
ちゃんと言おう、快斗くんに。どんな反応でも、わたしのこと、ちゃんと伝えるんだ。
形が整えられたうさぎ型のハンカチを、わたしはきゅっと握った。
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みすと(プロフ) - わあああ返事遅くなってすみません(;; ) わたしも見ました、何回みても最高ですよね… こちこそ読んでくださってありがとうございます! (2020年4月24日 13時) (レス) id: 2f6679e490 (このIDを非表示/違反報告)
なな@鬼滅あんスタ(プロフ) - 昨日のロードショー見て来たのはうちだけじゃないハズ((((作者さんありがとうございます... (2020年4月18日 9時) (レス) id: 967fb8e362 (このIDを非表示/違反報告)
みすと(プロフ) - 加々知 零さん» 黒羽快斗くん夢、書くのとても楽しかったです(つω`*)小説読んでくださりありがとうございます! (2019年7月2日 22時) (レス) id: 2f6679e490 (このIDを非表示/違反報告)
加々知 零 - 。゚(゚´ω`゚)゚。快斗×夢主がヤバイよぉぉお!! (2019年7月2日 21時) (レス) id: b33ef74fc2 (このIDを非表示/違反報告)
みすと(プロフ) - 木実こむぎ@Project KZ副隊長さん» 最後のセリフは絶対これで終わろう!って考えていたのでそう言っていただけて嬉しいです!本当に読んでくださり感想までお聞かせくださり、ありがとうございます!また何か書き始めたら覗いてってください(^^) (2019年5月31日 19時) (レス) id: 2f6679e490 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みすと | 作成日時:2019年5月8日 21時