第十話 ページ11
クラスメイトたちがざわつくのを「はい、静かに」と彼がもう一度軽く手を叩いて止める。
「職員会議があるので、今日の一時間目は自習になります」
先生が出て行ってから数秒間、誰も言葉を発する者は居なかった。だが、
「やっ、た……」
と誰かが呟いた瞬間、皆は一斉に立ち上がって歓声をあげた。
「っしゃああああ!!」
「マジで誰がやったん!? 圧倒的感謝!」
「じ〜しょ〜く! ハイッ じ〜しょ〜く!」
「ちょっと不謹慎じゃない?」
Aは堪えきれない笑みが浮かぶのを隠すように窓際へ行って外を眺めた。風がとても心地よかった。理性がなければこのまま『ざまあみろバーーーカ!』と思い切り叫んでいたに違いない(近所迷惑)。
「……で、次誰がいいと思う?」
流石に騒ぎすぎて隣のクラスの女性教師から注意を受けたので一旦落ち着いたものの、倉島が謎めいたことを言い出したので皆、そちらに注目する。
「伊野襲ったアレ、呪術師の仕業なんだろ? しかも犯人はこのクラスにいる」そこで倉島は教室を見渡した。
「うん、欠席者ゼロ。……ってことはさ、次に呪ってほしい奴を多数決で決めたら呪ってくれるんじゃね?」
「それいい!」誰かが賛成するが、すぐに不安そうな声が続く。
「え、俺呪われたくないんだけど」
「このクラス以外の人にしない?」
わかったわかった、と倉島は黒板に白いチョークで『呪術師に呪ってほしい奴』と書いた。
「じゃあ、このクラス以外の人の名前言って。書いてくから。あ、手あげてね?」
「はいはい! 技術の
Aは思わずそう言った生徒を凝視した。まさに自分が言おうとしていたから感謝しかない。
「オッケー、宮井ね。他は?」
「
「一組の
「
「ちょ、ストップストップ。一気に言わないで」
誰も止めない。先程、不謹慎だと注意した生徒でさえも二回連続で名前を挙げている。
「じゃ、多数決取るので伏せてくださーい。まずは、宮井!」
衣擦れの音から、何人かが手を挙げるのが分かる。勿論、Aもその一人だった。術をかけた張本人が挙手するのもあれだが、そうしたほうが怪しまれずに済む。
「……では顔を上げてください。多数決の結果、この人が呪われることになりました! 宮――」
井先生、と続けようとした倉島の声を扉の開く音が遮った。
125人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
闍弥嵩 李(プロフ) - 猫かぶりさん» ありがとうございます! いやほんと、ななみん背高いし紳士だし実は優しいし最高ですよね! 芥見先生が『選ぶなら七海にしておけ』と勧める気持ちが分かります! (2021年6月1日 16時) (レス) id: 425bc70507 (このIDを非表示/違反報告)
闍弥嵩 李(プロフ) - 推しLOVEさん» ありがとうございます! 頑張りますね! (2021年6月1日 16時) (レス) id: 425bc70507 (このIDを非表示/違反報告)
猫かぶり - 続きがとても楽しみです!そしてななみん背高いぃぃぃ!!! (2021年5月30日 23時) (レス) id: 94bc23990d (このIDを非表示/違反報告)
推しLOVE - すっごく面白いです!頑張ってくださいね! (2021年5月23日 19時) (レス) id: 5790125387 (このIDを非表示/違反報告)
闍弥嵩 李(プロフ) - 花笠さん» ありがとうございます! (2021年4月17日 15時) (レス) id: 1dd78312f0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:闍弥嵩 李 | 作成日時:2021年2月15日 17時