会話 ページ5
それから僕達の間で続いていく会話。
「だけど、ちょっと違うぜ。立花も美門も居ないし。」
「美門がいると、喧嘩が酷くなるよ。あいつ、本当に悪戯好きだもんな。」
「黒木がすぐに止めてくれれば、僕達も楽なのに………」
僕が言うと、黒木が笑う。
「基本的に止める気は無いね。完全に楽しんでる。」
黒木の言葉を聞いて、若武が口をへの字に曲げた。
「俺達、黒木のおもちゃかよ。扱い酷くね?」
上杉も同意を示す。
「そうだそうだ、俺達で遊ぶな。」
それを聞いて僕は少し違和感を覚えた。
「若武と上杉で遊ぶっていったら、黒木より美門じゃない?」
黒木が肩をすくめる。
「アーヤも標的にされてるよね、
俺もたまにからかわれるし。
ま、絶対に挑発には乗らないけどさ。」
そう言った瞬間の黒木の笑みが、とてつもなく黒く見えたのは、僕だけ?
………では、ないみたい。
上杉や若武も、その背筋をぶるっと震わせた。
途端に、クックと笑い出す黒木。
「お前らって、ほんっと反応面白いよな。引っかかりやすいし、分かりやすすぎる。」
上杉がテーブルに突っ伏す。
「やられた……。くっそ、本当唐突に仕掛けてくるからな。昔からよくやられるよ。黒木、演技上手すぎ。」
えっ、演技だったの?!
う〜ん、演技とは思えなかった。
あまりに黒過ぎて………
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そうして僕達は、他愛もない話で盛り上がった。
それで僕は、何だか昔に戻った気がしたんだ。
アーヤと出会う前、特別クラスでこの三人といた頃に。
その頃だって憂鬱な事はあったけど、毎日が楽しかった。
その時に今を重ね合わせていると、何故か胸の痛みを忘れていられた。
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僕達が話をしていると時々、フッと静かになる時がある。
そういうのは、
『天使が通った』
って言うんだと教えてくれたのは、誰だったかな。
小さい頃、誰かがそう話していたのが微かに、記憶として残っている。
多分、アーヤもその言葉を知っているだろう。
アーヤの知っている事を自分も知っているというのは、何故だかくすぐったくって、
何処か、暖かかった。
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ガタッ、
不意に、物音がした。
そして、その音のした方を見たとき。
ドアが、静かに開かれた。
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yuzuka - とっても面白かったです。また色んなお話を書いてください!応援してます (2022年11月2日 20時) (レス) @page45 id: 81843b67d7 (このIDを非表示/違反報告)
ぱんだ - めっちゃ面白すぎて今4周しました!これからも頑張ってください! (2022年8月16日 16時) (レス) @page45 id: 09838c8ac8 (このIDを非表示/違反報告)
柚菜 - あーー、感動しましたいいお話をありがとうこれからも頑張ってください (2022年1月15日 13時) (レス) @page44 id: 1216b927b2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - お返事ありがとうございます^^*もちろんです!お待ちしています! (2021年4月30日 0時) (レス) id: 7efce59d5b (このIDを非表示/違反報告)
HUMA(プロフ) - ゆいさん» ゆいさんコメントありがとうございます。嬉しいです。あと本当にもう少しなのでどうにか終わらせたいです。最後までどうかお付き合いいただければ幸いです。 (2021年4月29日 23時) (レス) id: 75b28dedc0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:HUMA | 作者ホームページ:https://odaibako.net/u/potage1314
作成日時:2016年7月11日 9時