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欲張り ページ19

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四人についていきながら、私は深く考えていた。



黒木君のこと…………





黒木君のさっきの表情、儚い笑い方、力無い声。



どれも、いつもの黒木君からは考えられないものだった。



話していた内容からすると、私に関することだったけれど……






正直、黒木君をあそこまで変えるような影響力が私に有るとは思えない。







だから、理由が他にもあったんじゃないかとうたぐってしまうんだ。






ぼんやりと、真実は分かってきているけれど。






確信が、欲しい。



皆の口から、はっきりと聞きたい。








そう思ってしまうのは、欲張りかな______?









.






.







いろいろなことを考えて頭の中がぐちゃぐちゃになっていた時、映像は早送りで流れていた。




やっぱりなんだか不思議な感覚。









次に映像が止まったのは、私の家の前の場面。




ちょうど私が家に入り、ドアを閉めたところだった。





『だから皆、もう私に関わってこないでね。』




確か、そう言ったんだっけ。



皆が投げかけてくる 『仲間だ』 という言葉が、やけに嘘くさく聞こえてたんだ。




「参ったな。相当頑なだ。」



「流石、気の強いお姫様。」



「ていうか、ほんとにどうするよ。」



「アーヤ…………」





それぞれの反応を見せる皆。




「今日は一旦帰ろう。アーヤも落ち着いてからの方がゆっくり話せるさ。」




黒木君がそう皆に言った。



先程とはうって変わって、落ち着いた様子の黒木君。



皆が、私の家を見上げる。


悔しそうにしながらも、皆はドアに背を向けた。





ちょうどその時だった。



数時間前の私がドアを開け、声をかける。




「若武。」




明らかに、若武は体を硬くした。






やがて意を決したように振り返る。






「退団届け、提出します。
皆、……さようなら。」




ああ、私、酷い顔。

ばれてただろうなぁ、泣いてたの。




「アーヤ!!」



若武が、叫ぶ。




「貴方達なんて、仲間じゃないから。」




私は手のひらを握りしめ、立ち止まった。




「大っ嫌い!!」



この時の心境を思い出し、胸が苦しい。




「アーヤッ!!」




小塚君………、ごめんね。




「アーヤッ?!」




私がゆっくりと倒れていく。


同時に、私の目の前の映像もぐるぐる回り始めた。






「アーヤッ!!!」




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yuzuka - とっても面白かったです。また色んなお話を書いてください!応援してます (2022年11月2日 20時) (レス) @page45 id: 81843b67d7 (このIDを非表示/違反報告)
ぱんだ - めっちゃ面白すぎて今4周しました!これからも頑張ってください! (2022年8月16日 16時) (レス) @page45 id: 09838c8ac8 (このIDを非表示/違反報告)
柚菜 - あーー、感動しましたいいお話をありがとうこれからも頑張ってください (2022年1月15日 13時) (レス) @page44 id: 1216b927b2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - お返事ありがとうございます^^*もちろんです!お待ちしています! (2021年4月30日 0時) (レス) id: 7efce59d5b (このIDを非表示/違反報告)
HUMA(プロフ) - ゆいさん» ゆいさんコメントありがとうございます。嬉しいです。あと本当にもう少しなのでどうにか終わらせたいです。最後までどうかお付き合いいただければ幸いです。 (2021年4月29日 23時) (レス) id: 75b28dedc0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:HUMA | 作者ホームページ:https://odaibako.net/u/potage1314  
作成日時:2016年7月11日 9時

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