二夜目 満月 遭遇 其の二 中原side ページ5
けれども、俺がこいつを振り切るのは難しい。あの青鯖の言葉を借りるのは癪だが、異能力には相性があってそれによっては戦況も左右される。こいつの攻撃は重力で防げねえ上に、遠隔操作出来る。如何いう事かって言う奴もいるだろうから説明しとくと、俺の異能は触れた物にしか作用しねえ。逆を言えば触れてねえ物には作用しねえし、『汚濁』でも使わねえ限りは「物」を介さないと攻撃出来ない。一方、あいつの能力はおそらく雷と音を操る能力だ。雷や音は何も介さなくても攻撃出来るし、重力の影響を受けず、遠くからでも攻撃出来る。特に音は見えねえから避けんのも難しい。潜在能力の点なら屹度こいつの方が上だ。
そんな訳で、俺は今、この餓鬼相手に苦戦を強いられている。雷を躱しても死角から音が飛んで来て躱しきれない。重力で地面や石を飛ばしても、音で威力を弱めた状態にされて躱される。
今ならなんでこの四人の餓鬼だけでマフィアの構成員を、それも武器庫の警備に配属されているような手練れの連中を虐殺出来たのか解る。
この女の餓鬼は異能も強力だが身体能力も高い。身なりなんかを含めて考えても、その日の飯にも困るような貧民街の餓鬼って感じじゃねえ。どっかの非合法組織の人間かなんかだ。おそらく人を殺す訓練か何かも受けているだろう。そして、どっかに隠れているんだか何だかは知らねえが先刻の寄生蜂の異能力者。あれは。
俺は目の前の敵を見据えた。相変わらずその目には生気も光もなく、微笑みを浮かべたその顔は人形じみていて気味が悪い。
あれは、虐殺に向いている。
彼奴の能力なら鼠の子式に死体を量産出来る。その上、虫一匹入り込んで首筋に止まったぐらいじゃ誰も気には留めないはずだ。この上なく簡単で確実に敵を殲滅する不意打ちだ。戦争において一日もせずに敵の兵士を一掃する事も可能だろう。
雷鳴が飛ぶ。音の波動が叩きつけられる。幾ら異能で軽減出来るとはいえ限度があった。体が重い。
その時、俺の背後から声がした。
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翠緑胡蝶(プロフ) - 以後気をつけます……。 (2019年8月24日 0時) (レス) id: 3ac993459a (このIDを非表示/違反報告)
翠緑胡蝶(プロフ) - かなとさん» すみません、うっかり外すのを忘れていました。教えて頂きありがとうございます! (2019年8月24日 0時) (レス) id: 3ac993459a (このIDを非表示/違反報告)
かなと - 編集画面の関連キーワード入力の下をよく読みオリジナルフラグをお外し下さい違反です (2019年8月23日 16時) (レス) id: b1d25bd6f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:翠緑胡蝶 | 作成日時:2019年8月23日 14時