*First Step* -今度こそ踏み出すために-

~第45歩。~ ページ8

〜sideヘンリエッタ

「大変や！大変やてヘンリエッタ！」
「はいはい落ち着きなさいマリエ」
あわてふためくギルドマスターを、手馴れたように宥める。実際もう慣れてきた。

「……で？どうしましたの」

なんとか居間のソファにマリエを座らせると、私は腕を組み尋ねた。

「あんな、Aやんがぁっ……」

今にも泣きそうな顔のマリエは、先程ナズナさんから念話で聞いたらしい内容を伝えた。

「……ああ。それは」
「うち、どないしたらええんやろっ!?ソウジロウもAやんも大好きやから、どっちにも幸せになってほしいねん！」
「落ち着いて、マリエ」
「落ち着いてなんかおられへんわっ！」
「今出来るのは何だと思う？」
「なんやの？」

深呼吸を１つ置き、はっきりと明言する。

「見守ることだけ」
「んなっ……！」
反論を始めようとするマリエを遮って、私は言った。

「出来ることは全てしたわ。あとは二人の問題。私達の出る幕はもうないの」
「でもっ」
「でもじゃありません」
すっぱりと否定する。

「道路の舗装はもう十分にしたのだから、あとは自分達の足で踏み出すしかないでしょう？」

そう言うと、マリエも納得したかのように頷いた。

「……せやな！見守る！」

マリエもなのだろうが、あの二人には幸せになってもらいたい。

もちろん、正式にギルドメンバーでないとはいえ仲間であるから、というのもある。
しかし、私からすればAちゃん側に少し思い入れがある。

あの子の初恋は、まさに私の憧れそのものなのだ。

あんな甘酸っぱい経験、年を取り若々しさやみずみずしさを無くした今ではもう出来ないだろう。

だからこそ、ちょっと羨望の混じった思いではあるが、この恋を叶えてほしいのだ。

それと、(これは余計かもしれないが)Aちゃんのロリ感はアカツキちゃんに次いで私好みなのだ。

カップルが成立したら、それを口実に撫で回してみたいと思う。

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