*First Step* -今度こそ踏み出すために-

~第43歩。~ ページ6

〜sideナズナ
「「只今戻りましたー」」

居間のソファでくつろいでいると、玄関から複数の声が入ってきた。
出掛けていたギルドメンバーが帰ったようだ。立ち上がって迎えに行く。
「おー、お帰りお帰り。どうだったよ、ショッピング」
「楽しかったです！途中ソウ様にも会えましたし」
「……え？」
「あ、あと話題のAさんにも」

……おいソウジ。
さっき三日月同盟のツートップさんから連絡を頂いたばかりなんだが。
　ー今日ソウジロウAやんとええムードで出掛けたで、邪魔せんといたってなー！
　ー上手く行けば告白もするように誘導しましたので。

やっと引っ付くのかあいつら。
よしよし、お姉さんが一肌脱いでやろうじゃないか。
ギルドメンバーにそれとなくソウジらと遭遇しないように仕向けなきゃなーなんて、考えてる矢先に帰ってくるとは。
しかも遭っちまった。
これは少しマズイ気がする。
いや、ソウジは気にしないであろうが押しと気が弱いAちゃんのことだ。

……戦意喪失とか、してないだろうね。

『ソウジロウ君には、わたしなんかよりあの方たちみたいな美人さんの方が……』

あああ、めっちゃそういう考え方しそうっ！(←地味に失礼)

あの子も十分かわいいんだから、自信持てばいいのに。

さて。こうなったらまずすべきこと。
ソウジに連絡？気を落とさせないようにって？
いや、逆にそれを見たAちゃんが不安になるだろう。また女性だああっ……て。

じゃあ、最善策は……

フレンドリストから、少し前に登録した名前を呼び出す。

『はいはーい！こちらマリエール！』
「あたし、ナズナ！うちの連中が、ソウジたちと遭遇しちまって……」
『おおう……って、それAやん大丈夫やろか!?』
「そうなんだよ。普通の子なら大丈夫なんだろうけど……あの子、気が弱いだろう？」
『おわあ、た、大変大変ヘンリエッタぁ！』
[あら、どうしましたのマリエ。そんな慌てて]
『あ、おおきに！恩に着るわぁ！じゃ！』
ぷつん、と念話が切れる。
今、できることはこれくらい。

……にしても。
「おーい！Aちゃんのこと、どう思ったー？」
出掛けていたメンバーに声をかけると、口々に感想をいい始めた。
「好印象」
「私たちにはない無垢さに負けを感じましたね」
「そうそう！なんかこう……小動物って感じがして」
「惚れました」

良かった。
悪印象は持たれなかったようだ。

「あとはお料理が出来るのでしたら合格ですね」
文句無しってか。

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