運命の歯車1 ページ14
倉庫での一件から数日が過ぎた。
藤枝はエミリーの遺骨と遺品を手にすることが出来た。
FBIに付き添われ、アメリカへ渡りエミリーの墓を作った後、今までの罪を償うそうだ。
ジョディたちは、倉庫での包囲網は後方に公安警察も待機していたため、合同の会議と捜査報告書の処理に忙殺されていた。
幹部の右腕とも言うべきキムウジンが死に、またエンジェルダストのマスターレポートも存在しないとなれば、オドゥム側も大幅な計画の見直しが必要だ。
しばらくラスティーに構っている暇はないだろう。
そうは言っても、残党に狙われる可能性もあったため、バーボンとラスティーはもうしばらく姿をくらます必要があった。
「今度こそ、無断で外出しないでくださいね」
リビングで本を読んでいたりおに、昴はこれでもかと威圧的に念を押した。
「ハ、ハイ…」
こっわ〜〜…と首をすくめながら、りおは返事をする。
本を閉じてカフェオレを飲もうと手を伸ばした時、昴が思い出したようにりおに問いかけた。
「そういえば…あなた両利きと言っていましたけど…昔からですか?」
「え? ああ、はい。子どもの頃からですよ。
おそらく元々左利きだったんです。親が『箸は右!』ってしつけたんでしょうね。
今は基本右利きですけど、しつけと関係ないところは左のままなんです」
そこまで話すとカフェオレを一口飲んだ。
「例えば、…お財布からお金を出すとか、コーヒーカップを持つとか。
ホチキスを使うのも、トランプを切ったり配ったりするのも左ですね」
「なるほど。やっと腑に落ちました。
一緒にお茶をする時や買い物時など、時々違和感があったので。
ずっと右利きだと思っていましたから」
「昴さんは左利きですものね」
自分の左手にはカフェオレのカップが。昴の左手にもコーヒーカップがあるのを見て、りおは微笑んだ。
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作者名:aki | 作成日時:2020年1月3日 13時