ピンチ1 ページ11
ウジンたちが倉庫の外へ出ると、彼らに向かって一斉にライトが当てられた。
「な、何だ?!」
あまりの眩しさに、ウジンたちは手で目元にあたる光を遮った。
「FBIよ! 手を挙げなさい!
K国でのFBI捜査官拉致暴行について聞きたいことがあるわ」
ジョディの声が響いた。
FBI捜査官達がライトのそばで銃を構えている。
また、彼らの周りには後方支援として、日本の公安警察が待機していた。
風見の姿も確認できる。
昴、藤枝、さくらも彼らを追って倉庫から走って出てきた。
ウジンたちは前も後ろも包囲され、もう逃げ場はない。
するとウジンはジャケットの右ポケットに手を入れた。
銃を取り出すと思ったジョディは警戒を強め、叫んだ。
「手を挙げなさい!勝手な行動はしないで!」
ウジンがポケットから取り出したのは小さなリモコンスイッチだった。
部下が銃口を向けられたウジンを庇うように立つ。
するとウジンは踵を返し、ゆっくりとさくらたちに近づいていく。
「アイツ…もしかして自分の体に爆弾を!」
藤枝が叫んだ。
「ッ!」
昴が銃でウジンを狙う。
だがそれより一瞬早く彼はさくらに近づき、その腕を掴んだ。
(速い!)
さくらは、とっさに避けようとしたが、かなりの訓練を受けているらしく避けきれなかった。
「さくらッ!!」
ウジンを照準から外し、昴が叫ぶ。
「このまま本国へ帰っても、我らは処分される。
ならば将軍様のためにラスティー、お前だけでも道連れだ」
さくらはなんとか逃れようとするが、左腕をひねり上げられ、ウジンのリモコンを持った方の腕で首を押さえられ、身動きどころか呼吸もままならない。
「グッ…ふぅ…ッ!」
次第に意識が遠くなる。
「くッ!!このままではさくらが…ッ!」
リモコンを打ち抜くことも考えた。
だが、そのリモコンはさくらの顔の前だ。
手足を狙うか?
一瞬ひるんだとしても、さくらがヤツから離れるだけの時間は稼げない。
「くそっ!!」
打開策が見いだせず、昴に焦りが見えた。
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作者名:aki | 作成日時:2020年1月3日 13時