動き出したオドゥム3 ページ47
『秀一さんには美味しい朝食が出来ていますよ』
くるりと体の向きを変えると、りおは赤井の右肩の傷跡にキスをした。
ピクリと赤井の体が揺れる。
『ッ! ごめんなさい。痛かった?』
「いや、痛くはない。まだ皮膚が薄いから敏感なんだ」
申し訳なさそうな顔をするりおの左頬に、赤井はそっと触れる。
「お前こそどうなんだ?体中痛いんじゃないのか?」
『大丈夫よ。もうじきコーヒーも入るから、一緒にダイニングへ行きましょ』
ヒラヒラと手話で伝えると、笑顔になったりおは赤井に背を向ける。
赤井も体を起こしてTシャツを掴むと、二人でダイニングへと向かった。
朝食を取り、赤井は昴へと変装をする。その間にりおは藤枝にお弁当を作った。
『きっと必死で情報を集めていて、まともに食事などしていないんじゃないかな…。
エミリーも心配していただろうに…』
りおはそんなことを考えながらお弁当を包み、お茶を入れてバスケットに詰めた。
藤枝の部屋に着いたのは、午前9:00過ぎだった。
部屋に入るとすぐ、「返信が来た。これを見てくれ」と言ってPCの前に座らされた。
動画には二人のFBI捜査官が襲われる映像と、遺骨を入れた陶器の入れ物、そしてエミリーの遺品が映っていた。
映像は切れ切れだったが、覆面をした数人の男が捜査官に暴行を加えて車に乗せると、どこかの山中に二人を放置するところまで映っていた。
遺骨と遺品はジュラルミンケースのような物に入れられ、ケースにはマジックで『E』という
アルファベットが書かれた。
その後、誰かの手に持たれたそのケースは、そのまま空港のバゲージクレーム(荷物用コンベア)へと乗せられた。
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作者名:aki | 作成日時:2019年11月18日 13時