ペリドットとアンバーvol.5【名探偵コナン】【赤井秀一】【安室透】 (ページ27)

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工藤邸へ１ページ27

数日後———

　さくらは病院を退院した。
退院して病院を出たあと、さくらはタクシーで駅へ向かい、ひとりで新幹線に乗り込んだ。
車両の中ほどの席に座る。
帽子をかぶった男がひとり、さくらの３つ後ろに席を取った。
新幹線は定刻通り出発した。

　大きな駅に到着する直前、さくらはトイレに行くため席をたった。
トイレで用意していた違う服に着替え、メイクをし、別人になりすます。
程なくして、新幹線は駅に到着する。乗り込んできた乗客に紛れ、先ほどの席と同じ車両の前から２番目に座った。
　
　

　帽子をかぶった男は、さくらがトイレから帰ってこないことに気付く。
自分の存在に気づいて下車したと思い込んだ男は、慌てて新幹線から降りて行った。
さくらは先ほど座っていた席に移動すると、置きっぱなしにしていた荷物を回収し、次の駅で新幹線を降りた。

その後はローカル線で横浜まで戻ると、駅ビルトイレで念のため別の服に着替え、駅の外で待っていた博士の車に乗り込んだ。
もちろん、新幹線でもローカル線でも常につかず離れずの距離に昴がいて、あたりを警戒していた。
昴も時間差で横浜駅を出ると、博士達と合流した。

　「うまくいきましたね」
博士の車に乗り込んで、開口一番昴が言った。
「あの男は、病院でもずっと外からさくらの部屋を伺っていました」
『ええ。退院のタイミングを見計らって私を拉致しようとしていたようですが、まさか新幹線に乗るとは思っていなかったみたいですね』
手話で話すさくらも笑顔だ。
「確かにあんなに人が多いところで拉致するのは骨が折れるからのう。
ましてや、うじゃうじゃ人がいる駅でさくらくんを探すのは手間じゃろうしな。
【木を隠すなら森】とはよくいったもんじゃわい」
博士は運転をしながらニコニコしていた。

　工藤邸に戻ってくると、りおはなだれ込むようにソファーに座った。
「さて、まだ腹部のケガも完全に良くなったわけではありません。
無理言って少し早めに退院してきたのですから。着替えたら部屋で横になっていてください」
昴に言われて、りおは部屋着に着替えるとベッドに潜り込んだ。
正直、人ごみの中での乗り継ぎで疲れていた。

＊＊＊

　りおはまた夢を見ていた。
今度は病室のドアの前に立っていた。ドアを開けて中に入る。
エミリーがベッドの横に座っていた。
長いブロンドの髪をひとつの三つ編みにしている。
病気とは思えないほど顔色が良かった。