ペリドットとアンバーvol.5【名探偵コナン】【赤井秀一】【安室透】 (ページ22)

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エミリーの死２ページ22

　「藤枝。準備して。これからエミリーに会いにいくわ」
その言葉に一瞬表情が緩んだ藤枝だったが、突然の訪問許可が何を意味するのか、なんとなく察した。

　とりあえずの旅の準備をして、ラボを出ようとしたその時だった。

プルルルルル…プルルルルル…

ジンから返してもらったばかりの、藤枝の携帯が着信を知らせる。
電話の相手はエミリーの病院関係者だった。

　藤枝が電話に出る。
恐ろしいほど淡々と、その事実を知らされた。
さくらは電話に出た藤枝が動きを止めたことを不審に思い、声をかけた。

「藤枝？」
「エミリーが…死んだ…」
「え？」
突然のことで、藤枝の言った言葉がすぐに理解できない。
「エミリーが死んだ！！死んだんだ！！」
叫びながらさくらの胸ぐらを掴み、そのまま
突進する。さくらの背中が壁に激突した。

　「ラスティー！！お前ギムレットのお気に入りだったそうじゃないか！！
ラボで聞いた！！
だったら、お前エンジェルダストの事を何か聞いていたんじゃないのか！？
知ってて隠していたんだろう？おかげでエミリーは死んだ！！
間に合わなかった！！くそ！くそ！くそ！」
何度も壁にさくらを打ち付ける。
最後は床に叩きつけるように投げると、背中や腹を蹴り続けた。
さくらは抵抗一つせず、藤枝の暴力になすがままだ。
さすがに周りにいたラボのスタッフがすぐさま止めに入った。

「離せッ！あの女ただじゃ済まさねぇッ！！」

　スタッフたちに羽交い締めにされてもなお、暴れ続ける藤枝は半狂乱だった。
さくらは女性スタッフに抱えられるように起こされ、「大丈夫ですか？！」と声をかけられた。
『大丈夫』そう答えたつもりだったが、声は出ていない。

　そのままゆっくり立ち上がり、処置室へ行きましょうというスタッフを制して、さくらはひとりラボを後にした。

　腹の傷が開き、じわじわと出血している。
それよりもエミリーの死に間に合わなかったことに、さくらはショックを受けていた。
この後どうすればいいのか、何をすればいいのか、まったく思考がまとまらない。
ふらふらと当てもなく歩き続けた。