刺客3 ページ16
さくらも男に蹴りを仕掛けるが、全て受身を取られた。
熱のせいもあってか体が重い。
体力的にも精神的にもかなり分が悪いようだ。
何度目かのナイフの攻撃を避け、さくらは男の手を掴む。
「あなた、オドゥムの者ね?」
さくらの問いかけを聞き、男はニヤリと笑う。
「愛する将軍様にこの国を献上する。その邪魔をするものは全て消す!」
そう言うと掴まれた腕を振り払い、さくらの背中に蹴りを入れた。
蹴りの衝撃で前に吹っ飛んだ体を丸め、コンクリートの地面に手をつき、回転を加えて体勢を
立て直す。
さくらは膝をついて、相手を睨みつけた。
それを見た男ニヤリと笑みを浮かべる。
「エンジェルダストで殺人兵器と化した者たちを、この日本に、東京に、大量に解き放てばどうなると思う?」
さくらを挑発するように問いかけた。
「ッ!?」
(殺人兵器を東京に解き放つですって?!)
男の言葉にさくらはゾクリとした。
そのスキを逃さす、男はナイフを突き刺そうと突進してきた。
初動が遅れたがサッと攻撃を避け、男の足を狙う。
体重が乗った方の足を蹴られ、男はバランスを崩した。
通常ならそのまま転倒するはずが、男は驚異的な身体能力で体勢を保つと、さくらに切りかかる。
(?!)
とっさに攻撃をかわそうとしたが熱で一瞬目がかすみ、頭がクラリとした。
ザクッ…
鋭い痛みが左の下腹に走る。
「ぐっ!」
血がポタポタとコンクリートに落ちる。左手で傷口を押さえた。
男はチャンスとばかりにトドメを刺しに襲いかかってきた。
相手が手負いだと油断したのか、正面から狙いに来る。
さくらは体をひねって攻撃をかわすと、手刀で男のナイフを持った手首を狙う。
カランカランカラン……
ナイフがコンクリートの上を回転しながら滑っていった。
しかし反撃もここまで。さくらは地面に膝をついた。
「ぐっ…はぁ…はぁ…」
「ラスティー…噂通りの女だな。だがそこまでだ」
手首を押さえていた男はジャケットの内側から銃を取り出し、さくらに近づいた。
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作者名:aki | 作成日時:2019年11月18日 13時