ベルモットの忠告２ ページ12
「声」
「え？」
「また出なくなりそうよ。それに顔色も悪いわ。
おまけに目元は腫れぼったいし。熱があるんじゃないのかしら？」
「ッ！」
言い当てられて、ラスティーはビクリと体を揺らす。
「とにかく無理は禁物よ。
あなたが思っている以上に体はダメージを負っているのよ。
少しは自覚しなさいな。
まあ、食事ができるようだったから安心したけど…」
ベルモットはにっこり微笑んで、持っていた携帯灰皿にタバコを入れた。
「ベルモット…どうしてそんなに私の心配を？」
ラスティーは以前から思っていた疑問を投げかける。
「この組織に引きずり込んだのは私たちだったし…。
妹分？ って思っているから…かしらね」
微笑むその笑顔は、姉のような優しさを含んでいた。
「とにかく無理はダメよ。良いわね」
そう念を押すとベルモットは席を立った。
「うん……ありがとう」
ラスティーの言葉に微笑むと、ベルモットは部屋を出て行った。
カフェオレの入ったカップを持ち、りおは先ほどまとめた資料に目を通す。
「ギムレット…か」
ふと、カクテルの名を口にする。
カクテルの持つ言葉は『遠い人を思う』。
ギムレット本人も、亡くなった恋人を思いながら悪魔の薬を作った。
藤枝はエミリーを。
私は…？ 私は誰を思う…？
一度深呼吸をして目を閉じる。
脳裏に浮かんだのは…。
＊＊＊
りおが工藤邸を出て丸二日が過ぎた。
電話もメールもSMSも繋がらない。
昴は最終手段として、安室に連絡することにした。
正直、彼の元にりおが居たら…。そう考えると今まで連絡できずにいた。
だが、二日も音信不通ではそんなことも言っていられない。
りおの身に何かあった可能性も捨てきれないからだ。
それを知るためには組織のアジトにりおがいるか調べてもらう必要があった。
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作者名：aki | 作成日時：2019年11月18日 13時
