ペリドットとアンバー【名探偵コナン】【赤井秀一】【安室透】

悪夢のはじまり１ ページ29

翌朝———

　コナンが工藤邸を訪れた。
赤井は昴の姿に変装を終えている。
リビングに通されるとソファーにはホットミルクを飲むさくらがいた。

「さくらさん、もう体調は良いの？」
コナンがさくらに訊ねた。
「コナンくんと言ったかしら？ スーパーで会った子よね？
心配かけてしまってごめんなさい。熱もすっかり下がったわ。
後は体力を戻すだけよ。
昨日から昴さんのスペシャルなメニューで…」
と言いかけたところで昴が咳払いをする。
(おいおい、いったいどんなスペシャルなメニューなんだよ…)
コナンは半目になった。


「それはさておき」
昴が口火を切る。
「何か動きがあったから早朝からここへ来たんですよね。小さな名探偵？」
それを聞いてコナンの顔が険しくなる。
「さくらさん、最近中国マフィアの関係する任務なかった？」
コナンの問いかけにさくらは思い当たることがあった。

　日本の暴力団と中国マフィアが結託し、日本国内で臓器売買がされていた。
安室と潜入し、臓器売買のネタは公安へリークしたとコナンに告げる。
その話にコナンの顔色が変わる。
「ちょ、ちょっと待って！臓器売買って？！
臓器は摘出から数時間しかもたないから、ドナーと患者の距離ってすごく重要だよね？
中国から輸出していたら間に合わないでしょう？」
「彼らは身寄りのない孤児や誘拐してきた人たちを、生きたままタンカーで日本近海まで連れてくるのよ。
依頼が入ると適合者をタンカー内で…」
そこまで言いかけて昴がさくらの話を制止する。
「これ以上は」
そう言われてハッとした。さくらの両手は小刻みに震えていた。
昴の大きな手がさくらの震える手に重なる。


「コナンくんの掴んでいる情報との相違点は？」
昴がコナンに訊ねた。
「僕が聞いた情報は人身売買だった。
先日検挙された日本の暴力団と中国マフィアは人身売買をしていたんだって。
安室さんから、さくらさんが掴んでいた情報と違うんだって連絡が来たんだ。
さすがに詳しくは教えてくれなかったけど…。
それでさくらさんと至急連絡をとって欲しいって」

　警察に送った情報が操作されている？
一体どういうことだ？

悪夢のはじまり２→←守られた約束４

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す