限界を迎えて1 ページ19
ドアを開けると哀がさくらの額に冷たいタオルを乗せていた。
「ずっと食事も喉を通らなかったのかしら?
免疫力が落ちてしまっているみたい。呼吸が少し速いから熱を測ったら…」
そう言って体温計を昴に手渡す。
「38.8℃…。迷惑をかけてしまってスミマセン。」
昴が小さな声で謝った。
哀はため息をつき、今に始まったことではないけどねと言って昴の方に向き直る。
「で、彼女は一体何者なの?」
昴は観念したというようにため息をつくと、今までのいきさつを哀に話した。
組織のメンバーと聞いた瞬間、哀の表情が緊張で引きつったが彼女がNOCと知り、安堵の表情を浮かべる。
ここまでは自分がライであり、赤井であることは一切触れていない。
それでも状況は正しく伝わったのか、できる限りの事はするわと言って部屋を出て行った。
時計を見れば深夜を回ろうとしていた。
哀と入れ替わるように阿笠博士が部屋に入ってくる。
熱が高いので水分を取らせるようにと言って、ミネラルウォーターとポカ○○エットを持ってきてくれた。
礼を言って昴は受け取る。
博士はコナンを送り届ける際に事情を聞いたようだ。
切なそうな顔をしてさくらの顔を見つめる。
「運命とは…」
博士が突然話し出す。
「運命とは時として残酷じゃな…」
それはさくらだけではない。
哀もコナンも、全てを指しているのだろう。
容易に想像できるほど博士の声は寂しげに響いた。
「ええ」
昴は静かに答える。
「ですがみんな、その運命と真正面から向き合える強さを持っています。
私はそれを信じたい」
昴の目は開かれていた。
グリーンの綺麗な瞳には強さが宿る。
それを見て博士は微笑んだ。
「そうじゃったな!」
その言葉にはいつも以上に力が込められていた。
「しばらくわしがついててやるから、昴くんはシャワーを浴びてくるといい」
博士の提案にありがたく頷く。
博士に彼女を頼み、一旦工藤邸に戻った。
シャワーの後変装をどうするか考えたが博士の家に戻るため、再び変装することにした。
いつどのタイミングで哀が部屋に入ってくるか分からないからだ。
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aki(プロフ) - 明里香さん» ご指摘ありがとうございます。訂正しました。 (7月8日 23時) (レス) id: 30aa1f0c8d (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 限界を迎えて5、麻じゃなくて、朝です。 (7月8日 22時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
aki(プロフ) - 明里香さん» ご指摘ありがとうございます。訂正しました。小説は書いて消しての繰り返しです。全然書けない日もあったり、タイピングが間に合わない程言葉が溢れたり。そういう時に変換ミスが出やすいです。気を付けていますが書くのも校正も1人ですから気付かぬことも多いです。 (7月6日 23時) (レス) id: 30aa1f0c8d (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 運命の再会4、洗出じゃなくて、新出です。何故、一ヶ所だけ誤変換があるのですか。 (7月6日 22時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 運命の再会3、徹じゃなくて、 透です。 (7月6日 22時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:aki | 作成日時:2019年7月17日 19時