運命の再会3 ページ14
カフェは大学のすぐ近くにあったが、PCなどの荷物も多かったため昴の車に一旦乗りカフェの駐車場に向かう。
二人で車を降り、カフェに入るところを遠くで安室徹が見ていた。
さくらは安室の存在に気づいていたが知らぬふりをした。
カフェに入り、注文をして席に座る。
お互いに改めて自己紹介をした。
「沖矢さん、工学部の大学院生なんですね」
「ええ。星川さんは理学部ですか」
「私は学生ではなくて森教授の助手なんです。先生、PCで文章作るのがすごく苦手で」
「なるほど。森教授の資料を私も拝見したことがあるのですが、あれはあなたが作っているのですね」
そんな他愛もない会話が続く。
突然沖矢が何か思いついたように「同じ大学の仲間ですから、お互い名前は
下の名前で呼びませんか? せっかくお近づきになれましたし」
と笑顔で提案してきた。
「良いですよ。年齢もそんなに違わないんですね。私のほうが年上だけど…」
やや照れくさそうにさくらが答える。
「歳はこの際関係ないでしょう。では遠慮なく。さくらさん」
「なんでしょう。昴さん」
仰々しいセリフにお互い吹き出してしまった。
そんな時、不意に昴からタバコのフレーバーの匂いがした。
さくらが良く知っている銘柄の匂いだった。
そしてカフェの店内に充満するコーヒーの香り。
店員が手際よくコーヒーを入れている。
なんてことはない、どこにでもある匂いと香りだった。
しかしどこか懐かしさを感じる昴を目の前にして、この二つの香りはさくらにフラッシュバックを起こさせるのには十分だった。
最初に脳裏に浮かんだのは———
返り血を浴びたライの顔
次にスコッチが事切れた顔
青ざめたバーボンの顔
自分を責めるバーボンの顔が見たいか! と叫ぶライの顔
大量の血液…血だまり…銃…
次々とあの時の情景がフラッシュバックされた。
体がガタガタと震え、みるみるうちに顔から血の気が引く。
額に汗がにじみ、心臓がバクバクと激しく音を立てた。
「?!」
すぐに昴がさくらの異変に気付く。
さくらの肩をそっと抱き、拒否しないことを確認すると自分の胸元に抱き寄せた。
店員に声をかけ、連れの具合が悪いのでこのまま店を出ることを伝えると、さくらを抱き抱えて車へと急ぐ。
さくらを後部座席に寝かせ、自身も車に乗り込むと博士に連絡をした。
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aki(プロフ) - 明里香さん» ご指摘ありがとうございます。訂正しました。 (7月8日 23時) (レス) id: 30aa1f0c8d (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 限界を迎えて5、麻じゃなくて、朝です。 (7月8日 22時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
aki(プロフ) - 明里香さん» ご指摘ありがとうございます。訂正しました。小説は書いて消しての繰り返しです。全然書けない日もあったり、タイピングが間に合わない程言葉が溢れたり。そういう時に変換ミスが出やすいです。気を付けていますが書くのも校正も1人ですから気付かぬことも多いです。 (7月6日 23時) (レス) id: 30aa1f0c8d (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 運命の再会4、洗出じゃなくて、新出です。何故、一ヶ所だけ誤変換があるのですか。 (7月6日 22時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 運命の再会3、徹じゃなくて、 透です。 (7月6日 22時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:aki | 作成日時:2019年7月17日 19時