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不思議な匂い ページ15

side ???

初めは本当に興味本位だった。

少しでも炭を売ろうといつものように町へ来てみれば、何だか中央の方が騒がしくて。

「鍋の修理?」

気になって近くにいる人に尋ねたら、その道に詳しい職人がこの町に来てるんだと教えてくれた。

それも鍋だけじゃなく、金属製の物なら釜だってなんだって直してくれるらしい。

「へぇ、それは凄いな!」

話を聞いて、俺はとても興味を抱いた。

(せっかくだし、少しだけ見ていこう)

もしそんなに凄いんだったら、家にある穴のあいた鍋も修理を頼めるかもしれない。

それに家が山の方にある分、鍋なんかはあまり替えが効かないからな。

そう考えながら、早足で町の中央へと向かっている途中。

(! これは.....)

悲しい匂いがして、俺は足を止めると辺りを見回した。

泣き声も聞こえて見てみると、そこには幼い女の子が、お兄さんらしき人の袖を掴んでは泣いていて。

(喧嘩したのかな、それとも迷子か?)

何があったのか凄く心配になる。

妹の方からはとても悲しい匂いがしていて、それが弟達に重なる分、見ていてとても心苦しい。

俺で何か力になれる事はないだろうか。

「あのーーーっ」

そんな思いから、思わず目の前の二人に声をかけようとすると、

(なんだ...?)

一瞬にして、どこからかとても優しい匂いが入り込んできた。

そしてそれは、泣いている子の隣にいるお兄さんから発せられてるもので。

「大丈夫だから」

「!」

子供に一言笑いかけると同時に、彼の持つ優しい匂いが一気に強くなる。

まるで、さっきまでの微かな戸惑いの匂いさえ、彼女への優しさで上書きされているようだった。

他の人とは明らかにどこか違っていて、嫌なものが一切感じられない。
強いていえば妹の禰豆子のような、とても優しくて暖かい、太陽みたいな匂い。

(何故だろう....)

初めて見る筈なのに、あの人を見ているとやけに安心する。
まるで優しい光に包まれているみたいで。

こんな匂いは家族以外生まれて初めてだ。
酷く気分が落ち着いて、それでいてどこか安心するような....。

一瞬で覚えたそれに、気づくと俺は中央に向かう事も忘れ、その人に釘付けになっていて。

「なるほどな....」

「.....はっ!」

現に彼の発する匂いに困惑が混じるまで、俺はその場で棒立ちのままだった。

さっきはつい見とれちゃったけど、今度こそ本当に困ってるんだろう。

「あの、大丈夫ですか?」

声をかけると、何故か彼の匂いが驚きで染まった。

炭治郎との出会い→←まさかの巡り合わせ



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設定タグ:鬼滅の刃 , 男主 , 愛され   
作品ジャンル:アニメ
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みかん - もう公開はしないのでしょうか…凄く見たい…また公開にするような機会があることを願ってます!非公開にした理由が深いのなら作者様はこのコメント無視して頑張ってください!! (2022年1月9日 12時) (レス) id: bc2584c695 (このIDを非表示/違反報告)
まめ(プロフ) - 素晴らしいの一言に尽きます...素敵な作品で楽しく読ませていただきました。最新頑張ってください。陰ながら応援してます...(´∀`) (2020年10月18日 22時) (レス) id: 000b312b5b (このIDを非表示/違反報告)
三日月 - まだ(# ゚Д゚) (2020年3月10日 17時) (レス) id: 4d4917b86c (このIDを非表示/違反報告)
三日月 - 続きまだ? (2020年2月29日 20時) (レス) id: 4d4917b86c (このIDを非表示/違反報告)
佐藤悠真(プロフ) - 微笑ましいに尽きますね。いつもホワホワしながら読まさせていただいております。更新頑張ってください。楽しみに待ってます。 (2020年2月18日 0時) (レス) id: 44efc3fddb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Syu | 作成日時:2020年1月16日 21時

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