【鬼滅の刃】多分神様に試されてるのでこの際抗う事にした【男主】

プロローグ ページ1

生まれて今日まで19年。

平成令和と時代が流れる今を生きる中で、平凡な俺が唯一誇れる事があるとすれば、それは自分の持つ優れた勘や運だけだろう。

周りにはよく偶然だと言われるが、昔から当たり外れはほぼ当たり、道には一度も迷った事がない。

選ぶ理由は「何となく」だが、その判断全てが奇跡的に合っていたりする。

「お兄ちゃんて本当に凄いね！」

そんな俺をいつも褒めてくれていたのは、一つ年の離れた妹で。

お互い顔や運動神経も悪くない(妹はとんでもなく可愛いし優しいし美人だしry)事から、俺たちは巷じゃそれなりに有名な仲良し兄妹だった。

ーーーそしてそれは、いつまでも変わらないと思っていて。

この日だって、それこそ「何となく」嫌な予感がしただけだったのに。

「っ！！危ない！！！」

まさか自分の勘に従った結果、車に轢かれそうな妹の背を、後ろから押す形で庇う事になるなんて誰が予測できただろう。

ドンという凄まじい衝撃が身体に走り、次いで固い地面に全身が打ち付けられる。

そして気づいた時には、既に体が言うことを効かなくなっていて。

「お兄ちゃん、ーーーちゃんっ！！」

その視線の先では、懸命に俺の名を呼ぶ妹の姿があった。

目には溢れんばかりの涙を溜めていて、次第に頬を伝っては零れ落ちていく。

(くそ.....)

それを見てどうにか返事をしようにも、上手く口を開く事が出来ず、衝撃のせいか妹の声を正確に聞き取ることも難しい。

ものの数秒で瞼までもが重くなり、段々と自分が死に近づいていくのが分かる。

だがそれでも不思議と怖くないのは、妹を守れた達成感と無事である事への安心からだろう。

(あぁ、でも......)

一人にさせるのは悪いなぁ......。
そんな後悔が押し寄せる。

一歳差とはいえ、いつも隣を歩いていた妹。
突き放すにはあまりにも突然すぎて。

(ごめんな......)

今更ながら罪悪感に苛まれる。

俺がもっと早く、手を引けるほどに近づけていれば。
こんな事にはならなかったというのに。

とはいえ、予測しろだなんて到底無理な話だけども。

所詮俺はただの人間だ。
むしろあの状況下で守れただけ凄いだろう。

「ーーーなさい、ごめんなさい......！！」

遠のく意識の中、俺の手を握る妹の声だけが耳に響いていて。

最期の力を振り絞り、何とか言葉を口にする。

「今......まで、ありが、とう......」

どうか、俺の分まで幸せに。

そんなありったけの願いを込めながら、俺の意識はそこで途絶えた。

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