上善水の如し［ONE PIECE］ (ページ16)

今日:10 hit、昨日:0 hit、合計:75,549 hit

第14話ページ16

「秘密調査って…そういうのはサイファーポールの仕事なのでは…？」

革命軍の動向を海軍や海衛府が直接伺うことはない。

注意くらいはするけど。

「お前がやることに意味があるんだ」

「でも私、そういう隠密行動みたいなの得意じゃないです」

「構わん」

いや構うでしょ。

秘密調査っていうくらいなんだし。

「ドラゴンの娘という立場を最大限に利用するんだ」

そう来たか…。

「会ったことないのに、不自然じゃありませんかね…？」

「一人で革命軍に突っ込んで来いとは言わん。初めはどの島でどんなことをしているのかを報告するだけでいい」

なんだか実の父親を裏切っているようで心地が悪い。

まぁ海衛府に入っている時点で裏切るもクソもないが…

「政府直属の調査員も未だドラゴンに会って話したことのあるやつはいない。A、お前の働き次第では世界が大きく動くことになる」

「…ゴクエンはこう言うが重く捉えなくてもいい。革命軍について分かったことがあればその都度報告を入れるように、というだけの話だ」

そうは言われても気が重い。

事の重大さに薄々気づいてきた私は、顔を青ざめながらじいちゃんの方をちらり、と見やった。

すると、じいちゃんもこちらに気づいたようで…

「…ドンマイ！」

笑顔でサムズアップする祖父を見て、私は悟りを開いた。

「…了解しました」

こうなったら誰よりも真っ先に革命軍の重要機密を入手して昇進、からの海衛府の英雄とか呼ばれるようになってやる…！！

「私はお前の力を買っている。…ミズミズの実の能力者。上手く扱えるようになれば、全ての能力者の行動を制限できる力もある。期待しているぞ」

「尽力します…」

こうして無事(？)会議は終了。

しかし私の心の中は大分抉られ削られ、疲弊していた。

会議終わりに真っ先にじいちゃんの元へ向かう。

「ねぇじいちゃん、父さんって私のことどう思ってるのかな」

「さぁのぅ…まあ可愛がってるのは本当じゃ」

「どうして私の前には現れないんだろ？育児放棄のことは怒ってないのに…」

「ぶわっはっはっは！Aは痛いところを突くのぅ！」

「もー、笑い事じゃないよー…。私も任務を受けたからには何か功績を残したいの！」

「心配せずともそのうち会えるじゃろ！」

大した情報を得られないまま、私は上官たちと共に海軍を後にした。