42.巻き戻しの魔法 ページ45
光に包まれた直後、私たちはギムレーの背中の上にいた。
「リュヌさん!無事だったんですね!」
そんな私に、ルキナは安心したように笑って駆け寄って来た。だが、私の隣にいる人物を見て固まる。
「どうしてルフレさんが?さっきまで……」
混乱したルキナに、私は悪戯が成功した子供のようにニッと笑う。
「まだ敵がいるんでしょう?こんなところで立ち止まってる暇はないよ」
私が言えば、ルキナは頷きファルシオンを構えて敵を斬る。
「師匠……いえ、ルフレさん。ルフレさんはルキナのサポートをお願いします」
未来のルフレさんにまで師匠と呼んでいると、流石に混乱する。
「分かった。武運を祈るよ」
ルフレさんはそう言い、私が渡した魔導書【トロン】を構える。
そんな2人に背を向け、私はギムレーの元へ向かう。
屍兵たちを魔法で飛ばしながら、前へ前へと進む。そして、ギムレー本体の首辺りまで来た。そこで見たのは、友人にとどめを刺そうとする師の姿。
私はギムレーの前に立ち、師の魔法を受け止める。魔法使いなだけあって、魔力と魔防だけは高いのだ。
「な……!」
ギムレーを庇った私に、クロムと師は驚愕の表情を見せる。
「師匠、クロム、ごめんなさい。私はギムレーを殺せないし、殺させない。ギムレーは私の友達だから」
そう言い、私は、同じく驚愕の表情を浮かべるギムレーの方へ振り返る。
「仲直り、しに来たよ」
私はそう言い、ギムレーに手を差し伸べる。
ギムレーは戸惑いながらも、私の手を掴んだ。
「リュヌ、どういうことだい?」
困惑した様子の師に、私は苦笑を浮かべる。
「私もルキナたちと同じ、絶望の未来から来たんです。本来なら、私も師匠たちの敵なんですよ?」
私はそう言って笑う。
あまり時間がないため、私はギムレーにある魔法を使う。
「後のことは、ルフレさんに任せます」
私はそう独り言を呟いて、魔導書を広げる。
「時空を司る神竜よ。我が魂を贄として、かの者の時を巻き戻せ!」
途端に、魔導書は青い光に包まれ、辺りを強い風が吹き荒れる。
私が行ったのは、時間を巻き戻す魔法だ。ナーガやギムレー とは違い、1人の時間を巻き戻すためのもの。
簡単に言えば、若返りの魔法だ。
この魔法で、ギムレーが邪竜として蘇る前の、この時間軸に来たばかりの頃まで巻き戻す。
そうすれば、ギムレーは邪竜としてではなく、人間として生きることができると思うから。
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005(プロフ) - とても感動しました!すごくシリアスな展開からのハッピーエンド素敵でした! (2018年4月21日 21時) (レス) id: 1fcd95cf50 (このIDを非表示/違反報告)
やまたこ - 面白かったです100点! (2018年4月16日 7時) (レス) id: 4e05d1b0ac (このIDを非表示/違反報告)
リムス(プロフ) - 書き人知らずさん» こちらこそ、コメントをくださりありがとうございました。この物語を読んでくださり、ありがとうございます。 (2018年3月23日 12時) (レス) id: 27e40c194f (このIDを非表示/違反報告)
書き人知らず(プロフ) - 感動する物語をありがとうございました。 (2018年3月23日 11時) (レス) id: bdbb5f59e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リムス x他1人 | 作成日時:2018年3月1日 22時