26.それの意味 ページ29
ギムレーは、自分の涙に不思議そうに触れ、その赤い目を丸くする。その間も、ギムレーの目からは涙が溢れ続けている。
「これは……?泣いているのか?」
あり得ないとでも言いたげにギムレーは言う。
「何で僕は……君が目を覚ましたのに泣いているんだ……?人間は、悲しいから泣くんじゃないのか?」
僕は、君が起きたのが悲しいのか?と、ショックを受けたように言うギムレーに、私は耐えられず吹き出した。
そんな私を見て、ギムレーは顔をしかめる。
「何がおかしいんだい?」
「だって、キミは悲しいから泣いてると思ってるんでしょ?」
私が聞けば、ギムレーは頷く。
「確かに、悲しかったら人は泣くよ。でも、安心したりとか、嬉しかったりしても人は泣くんだよ。だから、キミは泣いてるんだよ」
私が言えば、ギムレーは驚いたような目を見開き、自分の手についた涙を見る。
「僕は……君が起きたのが嬉しかったのか」
そう言うと、ギムレーは苦笑を浮かべる。
呆れたように、それでも嬉しそうに微笑んだ。
「ありがとう、ギムレー」
「……なぜ君が礼を言うんだい?」
私がお礼を言えば、ギムレーが聞いてくる。
「心配してくれたんでしょ?キミが心配してくれて、私は嬉しいよ」
「……そうかい」
私が言うと、ギムレーはフードを深く被ってしまう。ほんの一瞬だけ見えたのは、赤面したギムレーの顔だった。
キミがフードを被るのは、赤面した顔を隠すためだったのかな?
それに気付いた私は、またクスリと笑う。
その後ギムレーから、私が体調不良で倒れたのだと聞かされ、その原因は疲労と睡眠不足だという。
「自分の体調もろくに管理が出来ないのか?それで軍師と言えるとでも思ったのかい?」
「……返す言葉もございません」
ベッドの上で正座させられ、ギムレーからお説教を受けた私が解放されたのは、それから30分ほど先のことだった。
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すみません、24話と25話の順番を変えました。話の内容は変わりません。
遅れてしまいましたが、評価とお気に入り登録ありがとうございました!
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005(プロフ) - とても感動しました!すごくシリアスな展開からのハッピーエンド素敵でした! (2018年4月21日 21時) (レス) id: 1fcd95cf50 (このIDを非表示/違反報告)
やまたこ - 面白かったです100点! (2018年4月16日 7時) (レス) id: 4e05d1b0ac (このIDを非表示/違反報告)
リムス(プロフ) - 書き人知らずさん» こちらこそ、コメントをくださりありがとうございました。この物語を読んでくださり、ありがとうございます。 (2018年3月23日 12時) (レス) id: 27e40c194f (このIDを非表示/違反報告)
書き人知らず(プロフ) - 感動する物語をありがとうございました。 (2018年3月23日 11時) (レス) id: bdbb5f59e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リムス x他1人 | 作成日時:2018年3月1日 22時