２２.六つの翼 ページ25
私を抱えられたまま、ギムレーは窓から飛び降りる。
そのまま、私たちは下へ下へと落ちていく。
「ぎゃあああぁぁぁぁ！」
高所恐怖症な私には、耐えることなどできずに悲鳴をあげる。
「はぁ……だから、もう少しマシな悲鳴を上げてくれないかな？」
ギムレーが落ち着いた様子でそう言う。
その途端、彼の背に６つの翼が現れた。
薄い紫色にも薄い桃色にも見える翼を広げて、彼は飛んだ。
「綺麗……」
無意識に、そんな言葉が漏れた。
それほどまでに、美しかったから。
「だから……大丈夫だって言っただろ？」
悪戯が成功した子供のように、無邪気に笑うギムレー。
６つの美しい翼を広げて、孤独の空を飛び続ける彼を、私は邪竜とは思わない。
彼はギムレー。
かつて破滅と絶望で世界を包み、多くの人の命を奪った古の竜。
世界を敵に回し、孤独の中の哀しみを知りながら、たった１人で彷徨う巨大な竜。
「私も背負うよ」
キミの罪を、哀しみを。
だからどうか……。
私に、キミと共に同じ道を歩ませてください。
例えこの選択が、過去と未来のすべての世界を敵に回す行いでも、キミと共に歩めるのなら、永遠の苦しみも、終わりのない激痛も、すべて受け入れよう。
「例え世界が敵になっても……側にいるから」
キミの孤独が少しでも癒えるのならば、私はキミの隣を歩こう。
だって私は……
「キミの半身だから」
ギムレーが私に雨が当たらないようにフードで庇ってくれていたから、寒くはない。むしろ、彼の体温が高いからなのか、とても温かい。
その温かさが、私を眠くさせた。
そういえば、ずっと仕事詰めだったから、ここ最近は寝てなかったなぁ。
そんな私の手をギムレーは握っていてくれた。
その手袋から体温を感じることはないが、手袋越しから、彼が指輪をしているのが分かった。
形からして、私があげた指輪だろう。
嬉しいなぁ。
でも、ごめんね。嘘ついて。
その指輪は……。
心の中で呟きながら、私は重たい瞼をゆっくりと閉じた。
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005(プロフ) - とても感動しました！すごくシリアスな展開からのハッピーエンド素敵でした！ (2018年4月21日 21時) (
レス) id: 1fcd95cf50 (このIDを非表示/違反報告)
やまたこ - 面白かったです100点！ (2018年4月16日 7時) (レス) id: 4e05d1b0ac (このIDを非表示/違反報告)
リムス(プロフ) - 書き人知らずさん» こちらこそ、コメントをくださりありがとうございました。この物語を読んでくださり、ありがとうございます。 (2018年3月23日 12時) (レス) id: 27e40c194f (このIDを非表示/違反報告)
書き人知らず(プロフ) - 感動する物語をありがとうございました。 (2018年3月23日 11時) (レス) id: bdbb5f59e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リムス x他1人 | 作成日時：2018年3月1日 22時
