１７.窓の向こう ページ19
コンコン
また窓の外から、誰かが窓を叩く音がする。
だが、私のいる部屋は３階だ。
そんな部屋の窓の外に、人などいるだろうか？
私は、雨に打たれる窓を開けて身を乗り出す。
だが、外には誰もいない。
上の階の窓も、下の階の窓も閉められている。
それでも、確かに聞こえた窓を叩く音。
こんな芸当ができる人は、私の中ではかなり少ない。その少数の中で、私は彼の顔を１番に思い浮かべた。
姿は見えないけれど、そこにいる。
近くにいると、分かったから。
「ギムレー……？」
私は確かめるように、友の名を呼ぶ。
その声を、雨の音がかき消した。
「そんなわけ……ないよね」
私は自分の行動に苦笑しながら窓を閉め、チェスの置いてある机に向かう。
そこでようやく、私は気付いた。
私の席とは反対側にある、もう１つの椅子に、誰かが腰掛けていることに。
師匠と全く同じ容姿に、同じ服。
違うのは、その紅蓮の瞳。
「ギムレー」
そこには、雨でびしょ濡れの状態になった私の友人がいた。
「……リュヌ」
彼はその真っ赤な目で、私を見据える。
そんな彼の様子に、私は頬を緩める。
会いたい人に、やっと会えたから。
私は棚からタオルを取り出し、ギムレーに手渡した。だが、ギムレーは私を見るだけで、全く動こうとしない。
髪を拭きなさいと言いたいのは山々だが、どこか熱いその視線に、私は何も言えなくなる。
私はため息をつき、彼の頭をタオルで拭く。
ノノちゃんの髪を拭いたりしていたので、頭を拭くのには慣れている。
ギムレーは嫌がる素振りを見せず、ただされるがままだった。
「うん、大方乾いたかな？」
私は髪が乾いたのを確認し、ギムレーのつま先から頭までをじっと見る。
ギムレーは、髪は乾いたものの、服もびしょ濡れで、床に水が滴り落ちている。
「う〜ん……よし！ギムレー、お風呂入ろう」
そのときギムレーが、何言ってんだこいつ、とでも言いたげな表情になったが気にしない。
「私の部屋にもちゃんとお風呂が付いてるから外に出なくても大丈夫。今着てる服は洗濯で、師匠から違う服を借りよう」
私はギムレーに部屋にいるように言い、ルフレさんから服を借りる許可をもらいに行く。
ルフレさんはすんなりと服を貸してくれ、私はお礼を言い、急いで部屋に戻る。
私は自分の部屋の扉を開けて中に入ると、そこにギムレーはいなかった。
部屋を間違えたかと思い、部屋を出ようとしたそのとき、誰かに腕を掴まれた。
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005(プロフ) - とても感動しました！すごくシリアスな展開からのハッピーエンド素敵でした！ (2018年4月21日 21時) (
レス) id: 1fcd95cf50 (このIDを非表示/違反報告)
やまたこ - 面白かったです100点！ (2018年4月16日 7時) (レス) id: 4e05d1b0ac (このIDを非表示/違反報告)
リムス(プロフ) - 書き人知らずさん» こちらこそ、コメントをくださりありがとうございました。この物語を読んでくださり、ありがとうございます。 (2018年3月23日 12時) (レス) id: 27e40c194f (このIDを非表示/違反報告)
書き人知らず(プロフ) - 感動する物語をありがとうございました。 (2018年3月23日 11時) (レス) id: bdbb5f59e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リムス x他1人 | 作成日時：2018年3月1日 22時
