14.支援会話A ルフレ&リュム 前半 ページ15
私は今、ルフレさん達のいる天幕から少し離れた草原で、魔法の練習をしている。
空にはもう月が登り、星が見え始める頃。
他の人たちは既に訓練をやめているけれど、私はまだ、練習を続けている。
『攻撃の命中率が20%か……せめて50%に上げてくれないかな』
女々しいけれど、私はまだキミの隣に立ちたいと思っているから。
「こんな時間まで訓練かい?」
今ではもう、聞き慣れた声がした。
「こんばんは、師匠。どうしたんですか?」
天幕の方から、大きな鍋を持ってルフレさんがやってきた。
相変わらず、素敵な笑顔だ。
「どこかの誰かさんが、晩御飯も食べずに訓練ばかりだから、師匠の僕が様子を見にきたんだよ。食べるかい?」
ルフレさんは悪戯っぽく笑って、私に鍋を差し出した。
鍋の中までは見えないが、蓋の隙間から白い湯気が上がっている。
「美味しそうですね。今日は誰が作ったんですか?」
「僕だよ」
「銅味ですか……」
ルフレさんが作る料理は、何故かすべてが銅の味になるのだ。
「き……今日は上手く作れたんだよ!」
「ほんとですかぁ?」
ムキになるルフレさんをからかうように言う。
そんな私に、ルフレさんはムッとする。
「師匠をからかう弟子には晩御飯は抜きだ!」
「え!?ごめんなさい謝りますから!ご飯抜きだけはご勘弁をおぉ!!」
踵を返し、鍋を持ってテントに帰ろうとするルフレさんを追いかけながら私は言う。
流石はルフレさん。体力が皆無の私では全く追いつけない。
私は肩で息をしながら、膝から地面に崩れ落ちる。
頭を下に向け、息が整うのを待っていると、ジャリジャリと、足音が聞こえてきた。
足音はだんだんと大きくなり、私の前で止む。
「ほら、行こう」
顔を上げると、膝を折って私と視線を合わせるルフレさんと目が合った。
ルフレさんは目を細めて微笑み、私に手を差し伸べる。友人と同じ、女の私よりも大きい、手袋をしたルフレさんの手。
私は何かに誘われるように、その手を掴む。
それと同時に、強い力でルフレさんの方に引き寄せられた。
予期せぬことに対応できず、私はルフレさんに突進するような形になってしまった。
14.支援会話A ルフレ&リュム 後半→←13.支援会話B ルフレ&リュム
35人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
005(プロフ) - とても感動しました!すごくシリアスな展開からのハッピーエンド素敵でした! (2018年4月21日 21時) (レス) id: 1fcd95cf50 (このIDを非表示/違反報告)
やまたこ - 面白かったです100点! (2018年4月16日 7時) (レス) id: 4e05d1b0ac (このIDを非表示/違反報告)
リムス(プロフ) - 書き人知らずさん» こちらこそ、コメントをくださりありがとうございました。この物語を読んでくださり、ありがとうございます。 (2018年3月23日 12時) (レス) id: 27e40c194f (このIDを非表示/違反報告)
書き人知らず(プロフ) - 感動する物語をありがとうございました。 (2018年3月23日 11時) (レス) id: bdbb5f59e7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:リムス x他1人 | 作成日時:2018年3月1日 22時