それを返せ ページ9
「答えなさい。トム」
「……」
「黙っていたら分からないわ。この薬をどうしたのか答えなさい！」
最悪だ
いつもの様に押し付けられた子守をしている間にこの仕事もしない女に部屋に入られAに貰った薬を見つけられた
「こんな効きの良い薬をなぜ貴方が持っているの？答えなさい」
女が手の中で薬瓶を弄びながら凄んでくるが僕は口を開く気はない
「はぁ…トム、賢い貴方なら分かるでしょう？」
「……」
Aから言われる賢いとこの女の口から出る賢いは全く違う意味じゃないかと思いながら膝を折り目線を合わせてきた女を見ながら考えていた
「トム！私の話を聞いているの！？」
始まった…こうなったらこの女はずっと叫び続ける
Aに聞いたことがあったな確かヒステリックだったかな…
「トム！！言わなきゃ仕置き部屋行きだよ！」
仕置き部屋そこは悪戯や脱走をした子供が入れられる部屋だが要はこの先生と呼ばれるものたちの機嫌を損ねた子供が入れられる
そこに入れられると食事は与えられず窓もない部屋にずっと置かれる
外に出るには間違いを認めるしかない
「トムはあの部屋が嫌だろ？いつも一日も持たない」
「……」
僕はその部屋に何度か入れられているほとんどはこの女の気分次第だが
「この薬のことを話したらあそこには入れないよ」
「……」
「トムッ！！」
「ﾂ！」
女は僕の腕を爪が食い込む程強く掴んだ
「言え！！どこで盗んだ！！」
「盗んでなんかないっ！！」
決めつけるように言われたその言葉に僕は思わず返してしまった
ニヤリと女の口角が歪む
「じゃぁ、誰に貰った？」
「関係ないだろ…僕がもらったんだそれを返せ」
「なんて口の利き方だ…」
「それを返せ！！」
「先生に対しての口の利き方を知らない子はお仕置き部屋だ」
「っ！！離せ！！僕に触るな！！」
「黙りなさいトム」
「離せ！！」
抵抗する僕を女はズルズルと引きずる
この女の足は確実にあの部屋に向かっている
バンっと大きな音を立てて空いた部屋にゴミを捨てるように投げ捨てられる
「話すまでここからは絶対に出さない」
バン！！
力強く扉が閉じられると闇がくる
「ここから出せ！」
ガチャリ
扉を叩きながら言った僕の言葉は鍵を閉める音にピリオドを打たれた
遠ざかっていく足音に扉に背を預けながらゆっくりと座り膝に顔を疼くめる
その時の僕にはそうするしかこの闇から逃げる術はなかった…
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兎凪(プロフ) - 更新頑張って〜❤️応援してます❤️ (2021年10月5日 15時) (
レス) @page49 id: b4c6408c6f (このIDを非表示/違反報告)
ユキ - 続き気になります。更新頑張って下さい。 (2020年11月22日 0時) (レス) id: 26f37e78f0 (このIDを非表示/違反報告)
たたた - お話とっても面白いです！！！けど名前変換がほぼ機能してません！！！ (2020年11月20日 0時) (レス) id: 6bf73bd8a0 (このIDを非表示/違反報告)
由利香(プロフ) - 面白いです！更新頑張ってくださいね！ (2020年11月7日 12時) (レス) id: 4865437acd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅澪 | 作成日時：2020年11月2日 1時
