5 リドルside ページ13
…この部屋に入れられて何日経ったのだろうか…
今は夜…昼どちらだろう…
音も光も飲み込む闇に包まれながら隅に小さく座る
女が運んでくる一日一回の硬いパンとスープで日にちの感覚を掴むが…
…限界だ…
「…このまま闇に溶けられたら」
久しぶりに出した自分の声に返す人はいない
ガチャガチャ…
…鍵の音…今日で何度目の食事だっただろう
「トム、出なさい」
「……」
「早く来なさい」
二の腕に強い力を感じるがどうでもいい
次はどこに入れられるのだろうと働かない頭で考えるがそれすらも面倒だ
「行儀良くするのよ」
「……」
また女が何か言っているがどうでもいい
知らない部屋の扉が開けられるとそこには誰かいるようだ
そいつが女を部屋から出るように言うと聞いたこともない声色で女は出ていった
あの媚びるような声はなんだと思っているとそいつは僕の前に膝をついた
『リドル』
黒いヘッドドレスとかいうの付けているそいつの顔はよく見えない
何やら呼ばれている気がするが…
「…(なんだ？…僕は今この女に何をされているんだ…)」
顔に当たる女の肩に背中に回された温かい手
抱きしめられていると気づくのにそんなに時間はかからなかった
『少年』
「え？」
その呼び方に僕は覚えがある気に食わなかったその呼び方をする不思議な人
「…A？」
『やっと気付いてくれたのかい？』
「どうして…ここに？」
僕は回り始めた頭で整理する
遠くから聞こえる聞き覚えのある子供の声…
抱きしめられながらも周りを見渡す知らない部屋だけどここは間違いなく孤児院だ
『呼んだろ？』
「え…でも…」
『君が呼んだから私はここに居るのさ。待たせて本当に悪かったね』
「……苦しいよ…A」
『強く抱きしめているからね』
「離してよ」
『嫌だよ』
「……」
『リドルが来なくなったから嫌われたかと思ってさ。焦ったよ』
「…僕がドジったんだ…」
その言葉にAは僕から急に離れて僕の頬を両手で包み込む
暖かい手だな…
『リドルは悪くない。ドジったのは私だ』
しっかりと目を合わせるAの目は見たこないくらい揺れていた
『私が安易に薬を渡してしまった。君は賢い子だからあの女には渡せないと思ったんだろう？悪いのは私だ。…これから私はもう少し悪いことをする』
「え？」
意味が分からない僕にAはいつもの笑顔を向けて立ち上がった
コンコンと扉が鳴る
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 349人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハリーポッター」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
兎凪(プロフ) - 更新頑張って〜❤️応援してます❤️ (2021年10月5日 15時) (
レス) @page49 id: b4c6408c6f (このIDを非表示/違反報告)
ユキ - 続き気になります。更新頑張って下さい。 (2020年11月22日 0時) (レス) id: 26f37e78f0 (このIDを非表示/違反報告)
たたた - お話とっても面白いです！！！けど名前変換がほぼ機能してません！！！ (2020年11月20日 0時) (レス) id: 6bf73bd8a0 (このIDを非表示/違反報告)
由利香(プロフ) - 面白いです！更新頑張ってくださいね！ (2020年11月7日 12時) (レス) id: 4865437acd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：紅澪 | 作成日時：2020年11月2日 1時
