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12_09 ページ20

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『…なので、私は先生に、この言葉を習ったんです。と言っても最初は字も読めないですから、身振り手振りで。でも先生は剣なので、それもよく分からなくて、』

「新しい言語、ですか、文字…そうですね、作りが違うので、現代語を知っていても読めないですよね。け、剣?剣というのは…」

「おーおー、初めてはやっぱオレより食いつけるなぁリョウタ。さすが語学特化型は違うわ」

「だいぶ頭から煙が出てそうですけどね、先輩…」


こちらの思惑なんてなんのその、遠慮がちにナックルジムの戸を叩いたAはあっという間にジムトレ達と馴染みに馴染んで、執務室のソファで質問攻めにされている。自分が興味の的にされていることに目を白黒させているが嫌がっている様子はなく、ひとまず安心といったところか。最近の身近な距離感に忘れかけていたが、ことナックルにおいてAは大分稀有な存在なんだった。おかげでオレさまはすっかり話相手の座を部下に奪われて、部屋のすみっこに放っておかれている。…まあ思ったより上々の反応だし、いいか。

目の前のティーカップには目もくれず、Aの方を凝視するリョウタ。集中する時のいつもの癖だが、いや目つき怖ぇな。古代ガラル語に必死に食いつく姿に懐かしくなりながら、レナから入れたての紅茶と茶請けのクッキーを受け取る。

はじめましてのご挨拶だからと昨晩遅くまでこれを作り込んでいたAに、つまみ食いにいきたい手持ち達を必死に押さえていたオレの気持ちはきっと分かるまい。躾なのか何なのか、ドラメシヤ達は毎食与えていればそれ以上欲しがる素振りを見せないので、余計に気まずい。ドラパルトの何か言いたげな薄目の表情は見ないフリをした。

当のドラパルトは今、ヒトミのジャランゴに挨拶代わりにしきりに匂いを嗅がれている。ゴーストタイプを持つドラゴンに体臭はあるのか?と思わないでもない。身じろぎする毎に惜しげもなく鱗を鳴らすジャランゴと一切の物音言わせぬドラパルトが子気味良い対比になって、興味深い光景にスマホロトムと一緒に思わず見入る。人間だけでなくポケモン同士も親睦を深めていけば、何かしら騒ぎ立てられたとしても街との繋がりの一つになる。そうすればこちらからもフォローしやすくなることだし、しばらくは好きに交流させることにする。

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設定タグ:キバナ , ポケモン剣盾 , 夢小説   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:aks | 作者ホームページ:http://alterego.ifdef.jp/  
作成日時:2023年3月21日 20時

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