Astilbe Ⅱ (ページ3)

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鶴房汐恩#1 ページ3

「私のこと、好き…？」

君のその問いに、ちゃんと答えてあげれば良かった

「なあ、祥生…Aにラインしても既読つかんのやけど、なんでかな…」

「忙しいだけなんやないん？」

「それやったらええんやけど…」

次の授業までの空き時間を祥生と学食でご飯を食べながらつぶしていた

「それか汐恩がなんかしたんちゃうん？」

「…」

そう言われれば思い当たる節がないこともない

「この間会った時、私のこと好きかって聞かれたけどちゃんと答えんかった…」

「…Aがそれくらいで怒るようなタイプには見えんけどな。でも、いろんなことが積もり積もって、それが最後の一押しになったんかも」

Aとは高校生の時に出会った

控えめで、目立つようなタイプではなかったけど、接していくうちにどんどん惹かれていった

祥生にもたくさん手助けしてもらって、勇気を振り絞って告白して、なんとかAと付き合えた

高校卒業後して俺は大学へ、Aは医療系の専門学校へと進学した

専門学校は高校みたいな感じらしく、大学みたいに自由な時間なんてあまり無いらしい

その上、Aは生活費は自分で稼ぎたいらしく、バイトにも励んでいる

何事も頑張りすぎるAを見て不安になると同時に、俺は何をしてるんやろっていう気持ちにもなる

なにかと忙しいAと会うのは、週に1回あるかないかというくらいだった