Astilbe Ⅱ (ページ2)

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最近やっと活動も安定してきて、少し長めのオフをもらえました

日本に帰ってきて家族と会った時、Aの話を聞きました

本当にびっくりしました

あのAが？とそう思いました

もしかしたらAは待ってくれてるかもしれない

心のどこかでそう思っていました

何も言わずに行った俺をAなら待っててくれるんじゃないか、なんて都合のいいことを考えていました

Aが結婚したと聞いた時、言葉を失いました

何も言わずに行ったのは俺なのに

馬鹿みたいにショックを受けました

俺は、Aのことが好きでした

だからAに何も言わずに韓国へ行って、成功して帰ってくる

そんなことを高校生の自分は思っていたんです

今考えるとバカだなって自分でも思います

こんな卑怯な伝え方をしてごめん

ずっと、Aの幸せを願っています

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「…っばか汐恩」

我慢していた涙が止まらなかった

ずっと幼馴染の汐恩のことが好きだった

でもある日突然いなくなって、気がつけばアイドルになっていて、住む世界の違う人間になってしまったんだと思った

ずっとずっと汐恩のことが忘れられなくて、彼氏も作らなかった

社会人になって、この人なら幸せな家庭を築けるかもしれないと半ば無理やり思って

いい加減汐恩のことは忘れなきゃ、そう思って結婚したのに

「…ママ？どこかいたいの？」

娘が不安そうな顔で私にそう聞いてきた

「ううん…ママのね、大事な人からお手紙が来てね、嬉しくて泣いてたんだよ」

「だいじなひと？」

「そうだよ」

まだ不安そうな顔をしている娘を抱きかかえて、便箋を封筒にしまった

そしてそのまま自分の部屋に向かった

「ママ、このはこきれいだね！」

「そうでしょ？」

娘が指差したのは汐恩が昔くれた鍵付きの綺麗な箱

『誕生日やろ、これ』

『え、くれるの？ありがとう！』

『これ、鍵もついてるから』

『そうなの？』

『だから、宝物いれたらええよ』

『うん！そうする！』

「…汐恩も、幸せにね」

さよなら、大好きだったよ

手紙を箱に入れて、そっと鍵を閉めた