押せば成る【影山飛雄】【３】

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治療を終えたらしい月島が無事帰ってきて、

ついに20点台にまで乗り上げてしまった得点板。


OBさんら、そしてやっちゃんと共にヒヤヒヤしながら経過を見守る。


そしてその時は、やってきた。





☆☆☆





ピーーーーーーーーッ！！

大きなホイッスルの音が耳の中を支配して、
追いつかない脳をゆっくりと整理する。



「………や、やっちゃん…あ、あれ」



はちきれそうな興奮を分かち合おうと隣のやっちゃんに手を伸ばせばそこに彼女の姿はない。

ふと見れば彼女は泡を吹いて倒れかけていて、それを田中のお姉さんが叫びながらノールックで支えていた。


じわじわ、じわじわと積もっていく実感。

思わずふにゃりと崩れ落ちそうになる足に力を入れ、
そのままコートへ続く階段へと向ける。



「……行かないと、」





☆☆☆




「わっ…わあああああああ！！！！！！」



応援席や相手コートへの挨拶が終わり、少し落ち着いてきた雰囲気の選手たちに全力疾走で駆け寄る。

たまたま1番近い位置に立っていたのがスガだったため、私は躊躇なくスガの胸へ飛び込んだ。



「七海ーーー！！！！」

「スガーーーーー！！！！」



興奮冷めやらぬといった様子のスガもぎゅーっときつく抱きしめ返してくる。

「奇跡の再会かなんかですか」なんていう月島の冷静沈着な発言が聞こえてくるけど、そんなのに反応してられる余裕はない。

だって嬉しいんだもん。



「す、すご、あの白鳥沢に勝っ…！！！」

「うっうわあああーー！！！！」

「わ…？わ、わああああーーーー！！！！」



一旦離れてまだ震える体を抑えながらスガに言葉になっていない言葉を伝えようとすると、またなにかグワッときたのかガバッと抱きしめてくる。

えっまたするのそれ、と一瞬脳内をよぎったがもうどうでもよくて私も再びしがみついた。

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