3. あの子の笑顔 ページ3
▽
治視点
「どないしよ角名、西川さんと喋ってもた…！！」
「え、今の喋ったうちに入るの」
あわわわと女子のように手を口元に置いて言えば、
角名には冷静な顔と言葉で返される。
「喋ったやろどう見ても！！」
「西川さん、" えっ？ " と " あ、うん " しか言ってなかったけど」
「目を合わせて話せばそれはもう会話やねん！！」
初めて目があった。それだけでも俺は浮かれた。
綺麗な瞳に、吸い込まれそうやった。
２年に進級し、クラス替えがおこなわれた。
バレー部はとりあえず角名がおる。部活一緒行く奴
確保や、と安心した。
生徒の多い高校故に、もちろんクラスには何人も知らん奴がおった。
初めて同じクラスになった西川Aさんも、そのうちの1人。
最初の頃は、『クラスの女子』それだけやった。
モデル級のスタイルとか、アイドルみたいな顔とか、
そんなんやない。
おとなしくもなく、かと言ってムードメーカー的存在でもなく、普通の女子。それくらいや。
でもある日気づいた。
あの子、いっつもニコニコしとる。
なんならニコニコしすぎて、目がぱっちり開いとるところを見たことすらない。
いつも目を細めて、楽しそうに笑っとる。
そこから展開は早かった。
あの笑顔を俺に向けたい。向けてほしい。
そんな思いから、教室で暇がある時はガン見するようになっとった。
角名に勘づかれるまではバレてへんと思てたけど、
俺は思ったよりわかりやすかったらしい。
「っはぁ〜かわええよなぁ…」
「…見てるだけなの？」
「ん？」
「なんか行動起こさないと、進まないんじゃない」
平然と言う角名に、俺は「いやいやいや」と目を見開いて首を振る。
△
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 242人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みずかわ | 作成日時：2021年1月10日 14時
