58 ページ10
教場にいるのは降谷と萩原の二人だけ。
明日の授業に使う複数枚のプリントを一部ずつまとめホッチキスでとめながら、萩原はいつもの調子で答えた。
「なにがあったんだ?」
「まさか、降谷大先生からそんな事を聞かれるとはね。察しはついているんだろ?」
「・・・お前の口からちゃんと聞きたい。俺は憶測で動いて最近失態を起こした男だからな。」
「ハハッ違いないな。」
作業に一区切りつけると、萩原はタバコを取り出し火をつけた。
「お前も吸うか?」
「俺はタバコは吸わない。それに教場内は禁煙だぞ。教官が来たらどうする?」
「そーでしたそーでした。」
萩原はそういいながらも反省する様子もタバコをやめる様子もなく、口に咥えながら窓際に向かえば窓を開けて紫煙を吐き出す。
「アリシアちゃんに告白した。」
「・・・やはりな。それで?」
「お前達が邪魔したせいで、返事聞きそびれたんだよ。」
「・・・あれは、本当に告白しただけなのか?」
降谷が鋭く指摘すれば、萩原は降谷に挑発的な笑みを浮かべていった。
「だけじゃない・・・っと言ったらどうするんだ?」
「!?」
降谷は動揺を隠しきれず、鋭い瞳で萩原を睨んだ。
「俺はただ見てるだけで満足なんてしないたちでね。本気で惚れた女は全力で行く。ましてやあのアリシアちゃんだぞ?強引に行かなきゃ口説けないさ。」
萩原はハハッと笑いながら、教室の窓から空を見上げて言った。
「・・・分かったよ。だが萩、悪いが応援はできない。」
降谷がひとつ息をつけば、萩原はフッと笑みをこぼしながら言った。
「知ってるさ。お前も惚れてんだろ?」
萩原の問いかけに降谷は黙って首を縦に振った。
「主席の降谷先生でも、恋愛に関しちゃ俺の方が上のようだな?」
「いってろ。アリシアに避けられてる癖に。」
降谷が皮肉を込めていえば、萩原は短くなったタバコを消しながらため息ついた。
「痛いとこついてくるな。まぁ、意識してくれているんだろうと前向きに受け止めてるよ。」
萩原は苦笑いしながら答えた。
144人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ユウナ | 作成日時:2019年7月18日 21時