鬼に生きる〔鬼滅の刃〕

四十七話 ページ48

貴「できるかはわかりませんが…やってみます。」



取り敢えず何が鍵で小さくなったのかがわからないので、あの場面を思い出す。


忘れられるはずもない、あの光景を……

時透に足を切られ、真っ赤な血が空中に飛んだあの光景はしっかりとAの両目に焼き付けられていた。



貴「っ……」



足が笑い、手が震える。

あの時は……時透が怖いと言う感情とともに何が別の感情が込み上げてきたはずだ。


怒りのような…悲しみのような…



あの時、Aは強く願った。


鬼という生き物の本能を抑えるべく、全てを押さえ込む様に縮まり、強く願った。



人に戻りたいと。



貴「…………」



目を閉じて身体中の血液を沸騰させるかのごとく流れさせ、大きく息を吸い、酸素を血液の中に取り込ませる。

そしてまた、Aは願った。



貴「(小さく……小さく……人だった頃の様に…)」



しばらくそうしていると、体に違和感を覚えた。

いつもの体とはまた違う感覚であり、前の感覚………


そして多大の視線にAがを開くと、Aの能力を知らない四人が目を見開いている表情と、嬉しそうに走ってくる蜜璃が見えた。



四人「！？」



蜜璃「やったわねっAちゃん！！」



貴「？」



きゃっきゃと嬉しそうに飛び跳ねる蜜璃にAは？を浮かべながら自分の視線が低いことに気づく。

慌てて額に手を当てると、そこにあるはずのツノがもうなかった。



貴「！…ありがとう。」



蜜璃「！Aちゃん可愛いわっ！！」



頰を赤く染めた蜜璃にぎゅっと抱きしめられ、二つの膨らみに挟まれたこともあり少し苦しいが抵抗はしない。

本当に嬉しそうに笑う蜜璃を見ると、なんだか自分まで楽しく思えてしまうのだから嫌だという感情は出てこなかった。


周りでは



煉獄「聞いてはいたが確かにすごい発見だな！！」



竈門「わあ！！すごいな…禰豆子と少し似てるのか！」



我妻「ぎぃいやぁああ！！Aちゃんが！天使がっ！天使がここにぃいい！！」



伊之助「お前メスのくせにやるじゃねぇか！！勝負だ勝負ぅ！！」



などと思い思いに感想を述べ騒いでいるが、そんな中で蜜璃は少し心配そうに眉をひそめた後Aに尋ねた。



蜜璃「Aちゃん…無理しなくてもいいのよ？」



気を使ってくれたいるのだろうか。
潜めた声で問う蜜璃にAは「大丈夫」と一言残して蜜璃の腕の中から抜け出すと、もう一度お皿と箸に手を伸ばし米を掴み上げた。

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